阪神梅野隆太郎捕手(30)が東京五輪を戦う侍ジャパンに緊急招集されることが17日、決定的となった。18日にも発表される。15日の西武戦で左足を負傷していた広島会沢翼捕手(33)がこの日、メンバー内定を辞退。有事を受け、ちょうど30歳の誕生日を迎えたばかりの虎の要が代役に指名された。18日からは7ゲーム差をつけている2位巨人と甲子園で3連戦。「節目の年に優勝したい」と宣言した男が、最高級のモチベーションを胸にG倒に臨む。

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30歳の誕生日を迎えた6月17日、梅野の東京五輪参戦が決定的となった。15日の西武戦で左足を痛めていた広島会沢がこの日、メンバー内定を辞退。精神的支柱の離脱という有事を受け、虎が誇る正捕手に白羽の矢が立った。

前日16日に内定が発表された捕手はソフトバンク甲斐、広島会沢の2人。ただ、稲葉監督は会沢については「球団関係者からの報告を待っている。話を聞いてからどうするか決めていきたい」と含みを持たせ、代役として梅野が有力視されていた。代表ではセ・リーグ投手を中心にリードを任されることになりそうだ。

プロ入り後の日本代表経験はないが、ブロッキング能力と強肩は球界屈指。昨季まで3年連続でゴールデングラブ賞を獲得しており、満を持しての侍ジャパン入りとなる。今季も正捕手としてチームの首位独走を支え、得点圏打率3割8分1厘はリーグトップ。6盗塁の俊足も大きな武器となるのは間違いない。

この日は甲子園全体練習に参加。「今のチーム状況からしたら、何かいいことが起きそうな予感がする。まだ優勝の経験がないのでそこに突き進む。そしてこの節目の年に優勝したい」と三十路(みそじ)の誓いを立てた。18日からは7ゲーム差をつけている2位巨人との本拠地3連戦に臨む。

宿敵は主軸のスモークが電撃退団したとはいえ、離脱していた坂本、さらには丸も復帰した強力打線は要警戒だ。背番号2は「自分たちの野球のスタイルを崩すことなくできるゲームをやっていきたい。守り勝つ野球というのは絶対やっていかないといけない」と引き締めた。

今年の4月には、あらためて東京五輪への思いを言葉にしていた。「もちろん出たい。キャッチャーとして隙のないようにアピールして、入って活躍したいなという気持ちは常に持ち続けている」。涙をのんで辞退を決断した会沢の思いも背負い、覚悟を決めて代表ユニホームに袖を通す。

阪神からの侍選出は青柳、岩崎に並んで3人目となる。夏は東京五輪で金メダル。秋はチーム16年ぶりの美酒に酔いしれる。これ以上ないモチベーションを胸に、まずはG倒に向かう。

◆梅野隆太郎(うめの・りゅうたろう) 1991年(平3)6月17日生まれ、福岡県出身。小2年から軟式野球を始め、福岡工大城東では1年夏からベンチ入り。甲子園出場経験はなし。福岡大では1年春から正捕手。大学通算28本塁打。大学2、4年で大学日本代表入り。4年時は主将で4番を打ち、日米大学野球では2勝2敗で迎えた最終戦で、本塁打を放つなど優勝に貢献した。13年ドラフト4位で阪神入団。1年目から92試合に出場し、18~20年には3年連続でゴールデングラブ賞を獲得。今季推定年俸は1億1000万円。