阪神佐藤輝明内野手(22)が復活の兆しを見せる特大二塁打を放ち、更新中のファーム連勝記録を「17」に伸ばす白星に貢献した。10日にプロ入り初の2軍落ちとなり、初ゲームとなったウエスタン・リーグ広島戦(甲子園)。「4番右翼」で出場し、これぞテルの打球をかっ飛ばした。

2-2同点の6回無死一塁。カウント0-2から左腕高橋樹の低めのカーブにバットを合わせ、左中間フェンス直撃の二塁打を放った。あと30~40センチで本塁打という大飛球で二、三塁に好機を広げ、続く陽川の決勝打を呼び込んだ。9日のヤクルト戦で35打席連続無安打、球団日本人最多の151三振を喫し、苦い2軍落ちを味わった甲子園で、少しだけ無念を晴らした。

「まずは1本出たという意味ではよかった」。ヒットは1、2軍合わせて38打席ぶりで、長打は8月19日のDeNA戦(東京ドーム)で田淵超えの球団新人最多の23号を放って以来23日ぶり。二塁上で一瞬頬が緩んだが、すぐ表情を引き締めた。「(矢野監督に)すごく期待していただいているので、その期待に応えるためにも、早くチームに貢献したい」。本当に活躍したいのは2軍ではなく1軍の甲子園。その思いは試合後の練習にも見て取れた。

久々の長打の感触を体にすり込ませるかのように、約40分間の特打に励んだ。広島ナインが見とれるほどアーチを連発した。「体のメカニックがどこか、おかしくなっていると思う。今のままでは打てないと思うので、しっかりと修正をして早く1軍に戻ることができるように」。復活へのきっかけはつかんだ。ペナントレースの勝負どころに間に合わせる。【前山慎治】