首位オリックスの山本由伸投手(23)が球団タイ記録の14連勝をマークした。ソフトバンク戦で8回2失点。

阪急時代の73年に通算350勝投手の米田哲也が樹立して以来、48年ぶり。偉大なOBに肩を並べて17勝目とした。チームは8年ぶりにソフトバンク戦に勝ち越し、貯金は今季最多16。3連敗の2位ロッテと3ゲーム差に広げ、最短12日のマジック点灯へまた加速した。

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スイスイと試合を進めても、オリックス山本は満足そうな表情ではなかった。8回6安打2失点で自身14連勝&今季17勝目を飾っても「ストライクゾーンに最低限、投げられていた。なんとか、まとまったゲームを作れた」と浮かれた様子はなかった。ソフトバンク戦はこれで5連勝。今季7戦で6勝1敗、防御率0・98と圧倒している。

エースの登板日は、負ける気配がない。5月28日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)から自身14連勝で、通算350勝投手の米田が阪急時代の73年に樹立した球団記録に並んだが「今日は野手に大量得点してもらっての勝利。次は野手が苦しいときに助けられる投球がしたい」と目線を上げた。

常に向上心を持ち、レベルアップを目指す。常時150キロを超える直球に加えて「ゾーンに投げるのと、三振を取るために投げるもの」と2種類のフォークを駆使。150キロ近いカットボールや緩急を使うカーブも併せ持つ。

ただ、空振りを奪うのが投球の全てではない。ブルペン投球では時折「アマアマで!」と爽やかに伝達。意図を尋ねると「わざとカウント負けしたり、3ボール(からど真ん中)の練習じゃないですよ」とニッコリ笑い「例えばランナー一塁。投球のテンポを上げるには、どんどん打たせた方が良い。その練習です」と丁寧に説明。全ては「勝利」の2文字のためだ。

エースの快投で13年以来8年ぶりのソフトバンク戦勝ち越しが決定。2位ロッテとのゲーム差を3と広げ、貯金は今季最多の16。早ければ10日に14年以来7年ぶりのCS進出が決定する。中嶋監督は「自分たちが勝っていくことが全て」と強調。残り11試合。視界は良好だ。【真柴健】

◆米田哲也(よねだ・てつや) 1938年(昭13)3月3日生まれ、鳥取県出身。境から56年阪急(現オリックス)入団。以後阪神、近鉄と移り77年引退。28歳5カ月での200勝到達は歴代3位の年少記録。通算949試合登板はプロ野球2位。85年は阪神投手コーチとして日本一に貢献