球児2世だ! 「プロ野球ドラフト会議supported by リポビタンD」が11日に都内で開催され、阪神が外れ1位で高知の最速154キロ右腕・森木大智投手(3年)を指名した。高知中で軟式150キロを計測し、甲子園出場はならなかったが、超高校級右腕に成長。同じく高知出身で猛虎のレジェンド・藤川球児氏(41)の「火の玉ストレート」を目標に名投手を目指す。

   ◇   ◇

森木の表情は変わらなかった。ドラフト会議開始から33分後。阪神から1位指名を受けても、拍手の中で1人冷静だった。「選ばれるか不安な部分もあったんですけど…、とてもホッとしている気持ちです。阪神さんは今年すごく投打で波に乗っている良いチームだと思うので、光栄です」。終始阪神“さん”とつけ、丁寧に言葉を紡いだ。

そんな森木の表情が一気に和らいだのは、指名直後の会見後。別室で待機していた仲間の元に合流すると、マルテの本塁打パフォーマンス「ラパンパラ」で出迎えてくれた。内心「緊張していた」という18歳が、ようやく満面の笑みを見せた。

同じ高知出身の藤川球児氏に憧れる。保育園の頃、まだ物心がつく前からテレビ中継にかじりついた。「小さい頃から憧れで野球を始めたきっかけでもあります」。06年球宴で西武カブレラを予告ストレートで三振に仕留めたシーンが、心から離れない。

「ああいう真っすぐを投げたいとずっと思っていました。『火の玉ストレート』に近づけるように努力していきたいです」

高知中では軟式球で150キロを計測して「スーパー中学生」と騒がれた後も努力を重ね、最速154キロにまで成長した。それでも「まだまだ全然足りないところがあるので、まだまだ伸ばしていきたい」と自身の伸びしろを感じている。球児氏の現役時代のプレーを生で見たことも、会ったこともなく「真っすぐを投げる時の感覚だったりとか聞きたいですね」と質問攻めの準備はバッチリだ。

高校3年間では1度も甲子園に出場することはなかった。待ち焦がれた舞台に、タテジマに袖を通して立つ日もそう遠くないはず。「甲子園で投げられるのはうれしく思いますし、あのグラウンドで、1軍で立てるように頑張りたい」。虎の未来のエースへ。最後まで表情を緩めず、力強く宣言した。【中野椋】

 

<高知・森木大智(もりき・だいち)>

▼出身 2003年(平15)4月17日生まれ、高知県土佐市出身。

▼球歴 蓮池小1年時にソフトボールをプレー後、3年時から「高岡第二イーグルス」で軟式野球。高知中では3年時に春夏の全国大会を制覇。高知高では1年春からベンチ入りし、同年夏から背番号1。

▼球種 最速154キロの直球、カーブ、スライダー、チェンジアップ、カットボール、ツーシーム。現在はスプリットを磨く。

▼阪神西純との出会い 19年3月、高知春野球場で行われた創志学園の練習試合を、高知高校入学前の森木が観戦。2学年上の創志学園・西純は回転数や体重移動についてアドバイス。

▼趣味 最近はよく自宅周辺を散歩する。ドラフト会議前日は散歩ではなくランニング。野球の他にバレーボールも得意。

▼座右の銘 「下剋上」。中学2年の夏の全国大会で敗戦し「自分は一番下なんだと自覚してやろうと思いました」。

▼家族 両親と姉。

▼サイズ 184センチ、90キロ。右投げ右打ち。

 

○…高知中から森木を指導してきた浜口佳久監督(46)は、その人間性に太鼓判を押した。「非常に身体能力も高い子ですし、一番は野球を一生懸命努力するところ。練習することに関しては、誰にも負けないくらいの熱量がある」。同校OBの栄枝も阪神に在籍しており「これもご縁かなと思って、チームのためにまた一段と努力して、勝利に貢献してほしい」と願った。