打ってもすごいんです! 阪神から1位指名された高知・森木大智投手(3年)が12日、高知市内の同校で嶌村球団本部長らの指名あいさつを受けた。最速154キロの直球が自慢の投球だけでなく、高校13本塁打で打撃にも探究心を燃やす右腕は、投手が打席に立つセ・リーグを大歓迎。「球速の目標は160キロ、打席ではホームランを狙っていきたい」と力を込めた。

打撃への思いは本物だ。「二刀流っていえる技量はないかもしれないですが、バッティングもしたい。やるなら本気でやりたいです」。7月に高知大会決勝で敗れてからは、木製バットに切り替え振り込んできた。ドラフトから一夜のこの日も、フリー打撃で汗を流した。「吉田正尚さんが好きで、体の軸で打ちたいと思っています」。何より野球が大好きだから、とことん突き詰めたくなる。

「高校野球のように投げて走って、そういう野球選手としてトップのレベルまでいきたい。ピッチャーだけというのも面白くないかなと思ったんで、できるできないよりも、(打撃も)やるって決めたらしっかりやりたいなと思います」

5月の四国大会決勝の明徳義塾戦では3ランを放ち、その試合で自己最速を更新する154キロを投げた。まるで四国の大谷だ。「バッティングも力を抜いて、当たるところで100の力を出さないといけない。ピッチングにつながったこともありますし、いい影響を与えている」とうなずく。

9番で打席に立つセ・リーグでは、打てる投手は大きな攻撃力になる。阪神の高卒新人投手が本塁打を放てば1967年(昭42)の江夏豊以来。高校時代届かなかった甲子園で、投げて打ってファンを魅了する。【中野椋】

◆森木大智(もりき・だいち)2003年(平15)4月17日生まれ、高知県土佐市出身。蓮池小1年時にソフトボールをプレー後、3年時から「高岡第二イーグルス」で軟式野球。高知中では1年時から投手。3年時に春夏の全国大会を制覇。高知では1年春からベンチ入りし、同年夏からエース番号1。184センチ、90キロ。右投げ右打ち。

○…ドラフト会議から一夜、森木は「一晩寝たらうれしい気持ちがいっぱいになりました」と率直な思いを口にした。祝福のメッセージも多く届き、LINEやメールは150件ほど届いたという。指名あいさつには阪神から嶌村球団本部長、永吉次長、畑山統括スカウト、山本担当スカウトが訪問。山本スカウトは「皆さんが言う『高校ビッグ3』の中で同等の評価をしてたし、順番的には2番目になったけど評価は変わらないです」と説明。「まだまだ球児のとこまではいかないけども、その素質を持ってる子」と期待を込めた。