86歳の宮内義彦オーナーが、力強い足取りでマウンドで待つナインに歩み寄った。中嶋監督をねぎらい、ナインと言葉をかわし、胴上げで宙を舞った。祝勝会であいさつし「こんなうれしい夜を過ごすのは、25年ぶりでございます。143試合頑張り抜いてチャンピオンになられた」と感慨深げ。「今年をオリックスバファローズの新しい元年として、このチームをさらに磨いていくのが次の課題と思っております」と常勝を願った。

京セラドーム大阪には、“盟友”が住む。95、96年の連覇チームを率いた亡き仰木彬監督の胴上げ写真を、近鉄と球団合併した05年から、本拠地のオーナーズシートに飾った。モノクロ写真が伝える名将の舞いを、当時は現役だった中嶋監督が再現してくれた。

野に下って25年。「歌を忘れたカナリア」「冥土の土産に」「クレイジーなキャンプにしよう」など、数々の名言でチームを叱咤(しった)してきた。阪急からブレーブスを譲り受けたその日から変わらない愛情を、厳しい言葉に変えて注ぎ続けた。そのオーナーがこの日見せた最高の笑顔。「25年前を見てるなと。変わらず見られたなと」。中嶋監督も万感の思いで振り返った、総帥の表情だった。【堀まどか】