能見の教えで、2年目のジンクスを打ち破る! 阪神伊藤将司投手(25)が14日、磨き上げた直球を武器に、最多勝獲得へ意欲を示した。沖縄県内のグラウンドで坂本誠志郎捕手(28)とともに参加しているオリックス能見篤史投手兼任コーチ(42)との合同自主トレを公開。オンラインで取材に応じた。同じ左腕の大先輩から授かった金言を胸に、球団のプロ2年目では68年江夏豊以来54年ぶりの最多勝を狙う。

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憧れの左腕と過ごす濃密な時間に、伊藤将の心は躍っていた。坂本が橋渡し役となり、南国の地で能見との合同自主トレが実現。国際武道大4年時から技術などを参考にしてきたお手本ともいえる存在だ。これまで「2年連続2桁」を目標にしていた左腕は、今季のスローガン「イチにカケル!」にちなみ、目指すゴールを上方修正した。

「阪神タイガースが優勝することと、個人としては最多勝を取れるように、去年の青柳さんくらい勝てるようにやっていきたい」

2年目のジンクスは、磨き上げた「直球」で打破する。これは能見直伝だ。これまで不調時は「変化球でかわそうとしていた」というが、能見からは「やっぱりストレートが軸。悪い時こそ、ストレートで調整することがいいよ」と直球の大切さを助言された。伊藤将は「調子が悪い時に、どう原点に戻るかというのはあまり分かっていなかった。悪い時こそ、そこを意識してやらないと」と考えをあらためた。

キャッチボールでは能見と横並びの徹底マークで、質問を浴びせている。キャンプ序盤は直球1本で投げ込むベテラン左腕の調整方法にも挑戦していく意気込みで「能見さんがそこを重視してやっているということは、自分もそうやっていけというアドバイスだと思う。取り組んでみたい」と意欲十分だ。

直球にこだわり、長い現役生活を送る能見は「変化球に頼りがちというのは非常に多い傾向。僕自身もそういう傾向があった。意外とその辺って落とし穴があると思う。真っすぐの質がしっかり戻ればいろんなことができる」。加えて「コントロールは(自分より)伊藤の方が多分いい」と話し、「そうなると(打者との)駆け引きがしやすくなる。その辺はもう少し見えてくるとピッチングが面白くなる」とうなずいた。

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他にもフォークの握りや、不調時のゲームメークの考え方も伝授された。「右打者の外の直球やアウトローの重要性、左打者に対しての外の変化球とか、高さとかを教えてもらいました」。昨季は規定投球回までわずか3イニング届かず「しんどい時に長いイニングを投げないと」と引き締めた。

憧れの左腕の言葉を胸に秘め、球団のプロ2年目では68年江夏豊以来54年ぶりの「最多勝」を狙う。【古財稜明】