ソフトバンクの20年ドラフト1位、井上朋也内野手(19)が巨人戦でオープン戦1号を含む2安打5打点の活躍を見せ、開幕1軍争いで踏みとどまった。昨年大ヒットしたアニメ映画「シン・エヴァンゲリオン」の公開日からちょうど1年たったこの日、エヴァの聖地として知られる山口・宇部市で、若鷹がサード争いにインパクトを残す大暴れ。開幕1軍への「最終テスト」を予告していた藤本監督も、テスト延長を決めた。

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宇部市でのオープン戦開催は16年以来5年ぶり。「エヴァ」シリーズ監督の庵野秀明氏の出身地でもあり、作品中に宇部をモチーフにした風景が登場したこともある「聖地」だ。少し肌寒い日だったが、7000人以上の観客が集まったスタンドは若鷹の打球に熱く沸いた。

主役は20年ドラフト1位の井上だ。2回2死一塁の初打席で、巨人山口のフォークをとらえて豪快に左翼席へ。経験豊富な右腕からの1発で存在感を見せると、7回1死満塁では左腕大江から走者一掃の二塁打も放ち派手にガッツポーズ。「競争の中で、持ち味の打撃でしっかりアピールできた」と声を弾ませた。

この日は主力やベテランが福岡に残留し、若手主体のメンバー構成。当落線上の若手にとって「最終テスト」を予告していた藤本監督は「目立ったね。あれだけいいところで打ってくれたら、これからも使いたくなってくるよね。まだ2年目やからね。ここまでできるのは大したもんですよ」と井上の打棒を絶賛。「最終テスト、延びてしもうたね。(11日からの東京遠征にも)連れていきます。外せんでしょ」とうれしい悲鳴を上げた。

春季キャンプでは好アピールを続け、指揮官から野手MVPに選ばれた。だが福岡に戻ってからのオープン戦では、主力が出場する影響などで打席数も減り、直近5打席無安打と元気がなかった。「松田さん、リチャードさんがいるので、今まで以上にアピールしないと開幕1軍に残れない」。出場のなかった6日のロッテ戦後には筑後のファーム施設に戻ってから、打撃マシン相手にバットを振り込み、なんとか再浮上しようともがいた。

宇部の地でかけたアーチは、開幕1軍、そして三塁レギュラー取りへ道を残した。「エヴァ」がスタートした95年にはまだ生まれていなかった井上がサード争いで結果を残し、ソフトバンクの「新世紀」を切り開いていく。【山本大地】

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▽ソフトバンク海野(6回1死三塁から左前適時打を放ち)「大振りせずに、コンパクトに打ちにいこうと思って打席に入った。いい所に飛んでくれました。チャンスで打つことができて良かった」

▽ソフトバンク杉山(2回を投げ3安打2失点でアピールできず)「全然ダメでした。でも悲観的にはなっていない。修正(ポイント)は分かっている。結果を出し続けるしかない」

◆静養 ソフトバンク上林誠知外野手(26)、川瀬晃内野手(24)が新型コロナウイルスワクチン接種後の副反応とみられる体調不良のため、巨人とのオープン戦に参加せずホテルで静養した。