広島西川龍馬外野手(27)が巨人5回戦(東京ドーム)で今季1号の先制2ランを右翼席上段に放り込んだ。21試合目に待望の1発が飛び出したが、チームは逆転負けで3連敗。それでも、1番打者ながら大きな得点源となるスラッガーのアーチは明日への希望の光となった。

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今年初めて感じた手応えに、思わずバットを放り投げた。0-0の5回2死二塁。西川はメルセデスの内角への厳しい真っすぐに腕をうまくたたんでバットを振り抜いた。完璧に捉えた打球は右翼方向へ上がり、スタンド上段に吸い込まれた。待望の今季1号は先制2ランとなった。

「インコース真っすぐ一本に絞った。それ以外は空振りOKで。狙った球を一発で仕留めるのが久々の感覚だった。ああいう打席が増えて来たらいい」

打順の固定が安定した打撃につながっている。昨季は主に3番だったが、今季は開幕から全試合で1番。早くも今季10度目のマルチ安打で打率3割1分5厘を残す。リードオフマンとしてリーグ3位タイの13得点をマークするだけでなく、リーグ2位タイの14打点を挙げている。「正直、別にめちゃくちゃ(調子が)いいわけでもない。最後ももったいない。ああいう打席を無くしていければ」。現状に満足はしていない。

チャンスメーカーであり、クラッチヒッター。そしてチーム内では兄貴分でもある。東京への移動日となった18日の午前、マツダスタジアムで特打を行っていた大盛と小園のもとにスーツ姿で駆け付けた。昨年末に自主トレをともにした後輩2人の状態を確認し、そろって東京へ向かった。19日に1安打の大盛に続き、この日は小園にも安打が出た。言葉だけでなく、調子に浮き沈みのある若手を安定した打撃でもサポートする。

昨季終盤は安定した打撃に長打力を求め、9月以降45試合で4発と量産した。「最低でも(本塁打)2桁は打たないとという気持ちではいる」。今年21試合目での初弾も、チームの逆転負けに笑顔はない。「つなぎの攻撃」を続ける広島打線で下位打線と中軸をつなぐ役割を担いつつ、ときには1発長打でチームを鼓舞し続ける。【前原淳】