阪神が広島に逆転負け、連敗となった。先発秋山を4回1失点で下げ、継投で勝負。勝ちパターンのアルカンタラ、湯浅、抑えの岩崎まで投入したが、打線は終盤の好機を逃した。1点差負け13試合は12球団ワーストで、3試合に1度のペースだ。このカードは開幕から1分けを挟んで7連敗。苦しい戦いが続く。

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あぁコイ患い。虎党のため息が止まらない。阪神が開幕から広島に引き分けを挟んで7連敗を喫した。チャンスをつくってもことごとくつぶしてしまう。当然、矢野監督のため息も深かった。「三振じゃやっぱり事が起こらんから。何とかしようという気持ちで行ってくれているとは思うんやけど。三振じゃね…」。これで1点差の試合は5勝13敗。また虎が勝負弱さをさらけだした。

目を覆いたくなる拙攻の連続だ。1点を追う7回だ。1死から代打梅野が四球、近本、中野の連打で満塁の好機をつくったが、マルテが九里のチェンジアップに空振り三振。続く佐藤輝も代わった左腕ターリーに空振り三振に倒れた。8回には1死二、三塁から代打ロハスが空振り三振。続く梅野も初球の変化球を引っかけて遊ゴロ。どんなに走者をためても点が入らない。10残塁が攻撃のまずさを物語る。

ベンチも勝負手を打った。立ち上がりから球が走らない先発秋山を1点リードした4回1失点でスイッチ。矢野監督は「上位にいい感じに打たれていたんで。(今後の起用は)考える」と、断を下した。その後は12日の雨予報も想定してだろうが、ブルペン陣を惜しみなく投入。6回に渡辺が勝ち越しを許してもなお、7回からはアルカンタラ、湯浅、岩崎の勝ちパターンもつぎ込んだ。だが、指揮官の無言のメッセージが攻撃陣を目覚めさせることはなかった。

守りのほころびもあった。2-1の6回無死一塁で坂倉の二塁正面へのゴロは、4-6-3の併殺コースだった。だが、二塁糸原が球を握り損ね、一塁に走者を残してしまい、小園の三塁打、末包の犠飛で逆転された。流れを手放してしまった。

広島はヤクルトを抜いて首位に立った。チーム打率、得点ともリーグトップで勢いに乗る。一方、阪神はチーム打率2割2分4厘、110得点ともにリーグ最下位。これほどまで広島に勝てないなんて。コントラストが際立った。【桝井聡】

○…佐藤輝の適時打で広島から24イニングぶりの得点を奪った。初回1死一、二塁、九里の143キロの直球を右前に運び一時同点。「前の2人がつないで作ってくれたチャンスだったので、絶対にランナーをかえしたいと思っていました」。ただ、1点を追う7回2死満塁では、2番手ターリーの外角低めスライダーに空振り三振に倒れた。

○…コンディション不良から復活した糸井が、2安打1打点と気を吐いた。5日ヤクルト戦以来5試合ぶり、先発では4月30日巨人戦以来9試合ぶりの出場だった。初回に佐藤輝の適時打で追い付き、2死後の一、二塁で一時勝ち越しの右前適時打。6回は2死から左前打、8回は四球で出塁した。試合後は「とにかく勝ちたかった、それだけです。勝てるように、みんなでなんとかやっていきたい」とコメント。矢野監督は「何かを起こしてくれるんじゃないかというものを持っている」とたたえた。

○…1軍復帰2戦目のマルテがブレーキになった。7回1死満塁。九里のチェンジアップに空振り三振すると怒りのあまり、片膝でバットをへし折った。5回も2死三塁でチェンジアップに空を切った。好機で2打席連続三振。右足コンディション不良から前日10日に1軍昇格し、前夜に矢野監督は「徐々に上がってくるんじゃないかなと思う」と話していた。1回は左前打で逆転につなげたが、肝心な場面で気合が空回りした。

○…2番手加治屋が今季初ホールドを挙げた。1点リードの5回に登板。2死から味方の失策で出塁を許したが、マクブルームへの投球がワンバウンドする間に二塁を狙った一塁走者西川を、捕手坂本が好送球でアウトにした。「(先発の)秋山が作ってくれた良い流れを切らさないように心掛けた。緊張感のある場面で自分のピッチングができて良かった」。7試合連続無失点と存在感が増している。

○…12日広島戦に先発するガンケルが、本拠地初勝利へ意欲を示した。今季甲子園では3度先発し0勝2敗。助っ人右腕は「ホームでもビジターでもいつでもとにかく勝ちたいというのはありますけど、多くのみなさんが足を球場に運んでくださる。ファンのみなさんの前で勝てるように。ホームで1勝したい」と力を込めた。

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