<広島10-1中日>◇21日◇マツダスタジアム

大阪桐蔭時代に甲子園を沸かせた中日根尾昂外野手(22)が、プロ初登板を果たした。広島戦(マツダスタジアム)に控え野手でベンチ入りし、1-10の8回に6番手として1軍公式戦初登板。高校時代と並ぶ最速150キロをマークし、15球で打者4人を1安打無失点に抑えた。互いにドラフト1位で4球団競合して入団した同期の小園海斗内野手(21)とも対戦。9回は「4番投手」のまま打席に入り、ケムナの前に一ゴロも、「リアル二刀流」を日本中に見せつけた。

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中学生で140キロを投げる地肩の強さ。それを見た大阪桐蔭・西谷監督は「両方やった方がいい」と二刀流の素質を確信したという。高校時代はまだ“未完成”だった野手の練習に大半を割き、投手としてのトレーニングはその合間。「ほぼ野手の練習が100%で、1週間あったらその合間の2日間ぐらいだけでした」。たくさん投げ込む日でも100球ほど。根尾は当時をそう振り返っていた。

投手としてのセンスや潜在能力は当時から抜群。しかし投手に専念する仲間に見劣りしなかったのは、それだけが理由ではない。西谷監督は「負けず嫌いの子」と話していた。打っても投げても、野球では誰にも負けたくない。その強い心が唯一無二の成長につながった。プロでも変わらないはずだ。【元アマ野球担当・磯綾乃】