阪神は開幕戦の大逆転負けが痛すぎた。3月25日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)。最大7点のリードをひっくり返されての敗戦。開幕戦で7点差を逆転されての黒星は、球団史上初めてだった。2年連続セーブ王となり、パドレスに移籍したスアレスの後釜には新助っ人ケラーを据えた。しかし、1点差に迫られ登板した9回に2本塁打を浴び3失点。ケラーは3月29日広島戦でも2失点し、2軍降格となった。

チームはセ・リーグのワースト記録を更新する開幕9連敗の後、1勝を挟み、再び6連敗。開幕17試合を終えた時点でわずか1勝はプロ野球初だった。その時の勝率は0割6分3厘。矢野監督が今季限りでの退任を表明しており、指揮官のラストシーズンは最悪なスタートとなった。

コロナ禍にも見舞われた。開幕投手に内定していた青柳が3月17日に新型コロナの陽性判定を受け、藤浪が代役となった。その藤浪、そして昨季10勝左腕の伊藤将も4月13日に陽性判定を受けたと発表され、出場選手登録を抹消された。

さらには3番マルテも右足コンディション不良で4月上旬から1カ月以上離脱。3番に中野を起用するなど、苦しいオーダーが続いた。ここまで47試合で17勝29敗1分け。首位とは10・5ゲーム差。大きく引き離され、交流戦を迎えることになった。矢野監督は「まだまだチームの状態上げていかないといけないとダメだと思いますけど、何かのきっかけにこの交流戦ができるように」と言った。

希望の光は若い力だ。今季開幕前までプロ通算3試合の登板だった湯浅が、19試合で防御率0・98。リーグ2位の12ホールドとブレークした。3年目の西純は5月から1軍に合流し、3試合で2勝、防御率2・05と安定。18日ヤクルト戦ではプロ初本塁打&初完投勝利を飾った。2年目の佐藤輝は4番を担い、リーグ3位タイの10本塁打。着実に進化している。

リリーフ陣はアルカンタラ、湯浅、岩崎とつなぐ勝利の方程式も固まり、4月22日からは21試合連続で3失点以内。今季すでに11度の0封負けを喫している打線が奮起すれば、まだまだ巻き返しのチャンスはある。【阪神担当=中野椋】

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