北海道のみなさん、僕は元気に頑張ってます-。巨人中田翔内野手(33)が、古巣の日本ハムから12球団制覇弾を決めた。

9回無死二塁、慣れ親しんだかつての本拠地での通算98号となる5号2ランで、連敗ストップを決定付けた。7回2死一、二塁では、代打で巨人移籍後では札幌ドーム初登場。07年ドラフト同期入団の宮西から中前適時打を放った。野球人・中田翔を育んだ北の大地で、巨人中田が復活ののろしを上げた。

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格別すぎる1発を、中田はじんわりとかみしめた。2点リードの9回無死二塁、日本ハム望月のツーシームを左翼ポール際の上段まで運んだ。12球団制覇弾となる確信歩きの5号2ラン。かつての“庭”だった札幌ドームで21年5月1日西武戦以来の98号に、いつも通り、ゆっくりとダイヤモンドを1周した。

高卒でプロ入りしてから約14年間も過ごした古巣へ恩返しの一発。「こうやってホームランを積み上げてこられたのも、ファイターズのファンのみなさんのおかげ。これから先もずっと感謝していかないといけないですし、そういうみなさんの前で打てたことはうれしかったです」と笑った。

恩返しは前の打席から続いた。7回2死一、二塁、代打で巨人移籍後、札幌ドーム初打席へ。マウンドには、同期入団の盟友宮西。フルカウントからの直球を中前にはじき返した。貴重な適時打に、拳を掲げてガッツポーズ。試合前には「元気か? 」「お互い頑張ろうな」と言葉を交わした“ミヤさん”からの一打。「一生の思い出になると思う」とプロ野球人生の1ページに刻んだ。

昨年8月、電撃無償トレードで巨人に移籍。以来初めての札幌ドームとなったこの3連戦では、グラウンドから見える景色にも励まされた。日本ハム時代の背番号6のユニホームやタオルを持ったファンの姿。「心の底からうれしかった」。チーム関係なく、ドーム中から拍手が送られる温かい光景を、目と心に焼き付けた。あふれてくる感情は、感謝しかない。

でも、感傷に浸っている暇はない。北の大地を主砲として沸かせていた中田は今、レギュラーの座も確保されておらず、アピールが必要な立場にいる。「これからも精いっぱいできることを全力でやって、ファンのみなさんを喜ばせることができたらいいなと思います」。ヒーローインタビューを終え、360度のファンに礼をしてグラウンドを後にした。格別な1日を契機に、巨人中田としてまだまだ打ちまくる。【小早川宗一郎】

▽巨人原監督(中田について) チームにとっても彼にとっても、彼のファンにとっても、非常に良かったと思います。良い意味で何かきっかけとして、続けていってくれればいいなと思います。12球団からホームランを打つということも素晴らしい金字塔でしょうけど、たくさんホームランを打つということはさらにもっといい金字塔になりますから、それを目指してほしいですね。

◆中田が古巣の日本ハムから本塁打を放ち、現12球団すべてから本塁打を記録。全球団から本塁打は21年6月13日バレンティン(ソフトバンク)以来42人目。中田はこの日が日本ハム戦初出場。初対戦試合で全球団本塁打達成は07年5月27日ローズ(オリックス)が巨人戦、08年3月28日ラミレス(巨人)がヤクルト戦、21年5月25日ウィーラー(巨人)が楽天戦で記録して以来4人目で、日本人選手では初めて。また、札幌ドームでは通算98本目。稲葉(日本ハム)の59本を抑え、中田が同球場の最多本塁打打者になっている。

 

○…シューメーカーが5試合ぶりの2勝目を手にした。影をひそめていたテンポの良さを発揮し、6回を74球で3失点にまとめた。「調子は良かった。願わくば0点で抑えたかったしもっと長いイニングを投げたかった」と反省も、約1カ月ぶりの白星に「チームが負けることが一番フラストレーションがたまる。チームが勝ったことが一番いい」と納得の表情だった。

○…松原が約1カ月ぶりの先発起用に決勝打で応えた。同点の5回2死三塁、日本ハム杉浦の直球を中前に打ち返し、約2カ月ぶりの適時打。「なんとか打てて良かったです」と話すものの、8回無死二塁では犠打を失敗。「チャンスをいただけたので、しっかりつかめるように頑張りたい」と引き締め直した。

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