中日小笠原慎之介投手(24)が楽天田中将大投手(33)との甲子園優勝投手対決を制した。

4回無死一、二塁のピンチをしのぎ、7回4安打無失点。10年違いの聖地V腕対決に勝って今季3勝目を手にした。パ・リーグ上位2チームとの本拠地6連戦の初戦を飾り、チームは借金返済ロードを再び歩み始めた。

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小笠原が、甲子園優勝投手の大先輩に投げ勝った。田中将との初顔合わせで、3回までともに無失点。緊張感あふれる投手戦で、小笠原を奮い立たせたのは、田中将の背中だった。

「ベンチ前のキャッチボールでも、見る機会があった。見られるときは見させてもらった。ここというときに絶対(コントロールを)間違えない。さすがだなと思った。直球は低めに集まっていた。レベルが全然違うと改めて思った」

4回にピンチが訪れた。先頭小深田、浅村に連打を許して無死一、二塁。打席に迎えた4番島内に、粘り勝った。ファウル4本と粘られながら、カウント3ボール2ストライク-2からの10球目。スライダーで一ゴロ。続く渡辺佳をチェンジアップで二ゴロ併殺に打ち取り、危機を脱した。6回2死一、二塁のピンチも、島内を中飛に抑えた。

小笠原は15年夏、東海大相模(神奈川)のエースとして全国制覇。田中将は05年夏、駒大苫小牧(北海道)で頂点に立った。以来、楽天を日本一に導き、大リーグのヤンキースでも実績を残して日米通算185勝を積み上げる。

「バックスクリーンに(田中さんの)名前が出ると、多少は気にしてしまう。でも目の前のアウトをガムシャラに取ることをテーマにした。それができたのかな」。7回4安打無失点での3勝目に、小笠原は胸を張った。

5回の第2打席では、田中将に空振り三振に抑えられた。「すごかった。むこうで活躍する人はすごいなと。打席で球を見られたのが一番の収穫。肌で感じて体験できた。いい試合だった」と、思わず笑顔に。

本拠地6連戦の初戦を託され、借金を3に減らした。「(田中さんに比べ)僕は下の下の下。いつかは、僕はそういわれる選手にならないと。まずは追っていかないといけない」。飛躍へ、貴重な経験を積んだ。【伊東大介】

○…中日阿部が先制の6号ソロで、小笠原を援護した。4回2死の第2打席。楽天田中将の1ボール2ストライクからの5球目、148キロ直球を捉えて右翼最前列へ。「相手はいい投手だったので、低めをがまんして食らいついていった」と振り返った。5試合連続安打で17度目のマルチ安打をマーク。打率を2割9分6厘とし、リーグ4位に順位を上げた。

▽中日ロドリゲス(1回1安打無失点で12ホールド目)「小笠原はとてもいい投手で、彼とチームが勝てるようにマウンドに上がった」。

▽楽天石井GM兼監督(中日小笠原を攻略できず、今季9度目の0封負け) うまく真っすぐとチェンジアップとの出し入れをされて、うまく打てなかったのかなと思います。

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