日本ハム伊藤大海投手(24)が今季2度目、通算3度目の完封勝利を挙げた。オリックス12回戦(札幌ドーム)に先発。4四球を与え、終盤には右足をつりそうになりながら、6勝目を挙げた。ノーヒッターのオリックス山本由伸投手(23)と今季2度目の投げ合いを初めて制し、チームは2連勝。5カードぶりのカード勝ち越しを決めた。

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試合後、スカイブルーの帽子は、汗で色濃く染まっていた。9回。伊藤は、異変を抱えながらマウンドに向かった。「1イニング、何とか持ってくれという感じだった」。投球練習で右足をつりかけていた。2死二、三塁のピンチを背負い、吹っ切った。「足がつりきっちゃってもいいや」。最後の力を振り絞り、代打安達を147キロ直球で二ゴロに仕留めた。

完封劇のシナリオを、意地の投球で完成させた。初回から四球を出すなど、計4四球。新庄監督も「ちょっと四球が最初の方に出て、大丈夫かな」と心配顔だった。この日最速150キロの直球で押し、1発警戒の相手打線を封じ込んだ。「今日は後悔したくないというのがあったので、全部真っすぐでいって、それがいい結果につながった」と伊藤。今季2度目、プロ2年目で通算3度目の完封勝利を手にした。

相手エースとの投げ合いを制するには「完封」が必須条件だった。4月2日にプロ入り後、初めて先発として投げ合った。伊藤は6回2失点で先発として試合をつくるも、山本は7回無失点と、さらに上回った。「勝つなら完封しかない」と自らに命じて臨んだ。今回は伊藤に軍配が上がったが、慢心はない。1学年下の右腕に「ああいう姿で投げられたなと、いい勉強になりました」と感謝した。

新庄監督は「気づいたら、もうこの回まで来ているんだっていう投手はいい投手。テンポが良かったですよね」と評価した。5月20日西武戦以来5試合ぶり勝利で、チームトップ6勝目をマークした。試合のたびに工夫を凝らしてきたが、この日は吉田正ら左の強打者対策としてプレートの位置を変更。内角を鋭く突くのが狙いだった。

「完封がやっぱり気持ちいいですね」と余韻に浸った。また1段、エースへの階段を上った。【田中彩友美】

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