また止めた! 阪神が25日のDeNA戦(京セラドーム大阪)に快勝した。

2試合連続で完封負けを喫していたが、6回無失点の先発西純矢投手(20)からの完封リレーでやり返した。前回登板ではチームの連敗を8で止めた若トラが、今度は京セラドーム大阪での連敗、8連勝中の2位DeNAを止めた。

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西純の熱投が、チームに活気をもたらした。ピンチを乗り越える度にガッツポーズを決め、そしてほえた。8連勝と波に乗るDeNA打線を6回4安打無失点。自身初の登板2戦連続勝利で、今季5勝目。今季京セラドーム大阪の主催試合9戦全敗を阻止し、8連敗を止めた前回18日ヤクルト戦に続き、今季4度目の連敗ストッパーとなった。

「すごくうれしいです。ベイスターズはすごい勢いがあったんですけど、(坂本)誠志郎さんのリードを信じて投げるだけでした」 再三訪れたピンチでも一切動じなかった。初回にいきなり得点圏に走者を背負うも、牧、宮崎を抑え込んだ。3回は2死一、二塁では牧を、低めのスライダーで空振り三振。5回は2死一、二塁から佐野を外角フォークで中飛に仕留め、右拳を突き上げた。ピンチで迎えたのはいずれも中軸だったが、気迫でねじ伏せ流れを渡さなかった。

「8番打者」として持ち味の打撃力も存分に発揮した。2回先頭では「速かったです」と、DeNAロメロの内角153キロ直球を詰まりながらも右前へ。3回2死一塁からは「全力で走りました」と、遊撃へのボテボテのゴロで内野安打をマークし、追加点につなげた。プロ初のマルチ安打を記録し、20打数6安打で打率は驚異の3割だ。

「メジャー仕込み」の一流の道具が、若き右腕の快投を支えている。アシックス社の用具を提供されている西純のグラブは、エンゼルス大谷が以前使っていた小型で縦型のモデル。また、スパイクは同社とパドレス・ダルビッシュが共同開発した投手専用のソールを使用したもの。通常縦に装着されている親指の付け根の金具が、斜めに取り付けられている。同社の担当者は「左足で踏み込んでも体重が流れない。なおかつ、軸足は蹴りやすくなってます」と説明。海の向こうで活躍する剛腕の“エキス”が注がれた相棒とともに、成長を遂げている。

チーム連敗への意識は「全くなかった。いい雰囲気で試合ができたらいいなと思っているので」と笑顔。「最後までしっかり投げられるように頑張っていきたい」。3年ぶりに主催試合入場者数が200万を突破した節目の試合で、頼もしい若き連敗ストッパーが、またしても救世主となった。【古財稜明】

▼西純が2安打。阪神投手の1試合複数安打は、ガンケルが6月2日西武戦で3安打して以来。日本人では、西勇の21年8月27日広島戦での2安打以来。

▼西純は今季通算6安打となり、阪神投手陣ではガンケル7安打に続き2位だ。異例の先発8番で起用された6試合では、13打数4安打、1本塁打、4打点、打率3割8厘と期待に応えている。

▽阪神矢野監督(西純について)「自分の中でもしっかりボールを操ってバッターに向かっていっているという感じがあった。タイガースの投手陣、先発を引っ張っていくようなそういう素材だと思うんで。大きく育ってもらいたいです」

○…岩崎が今季初めて7回に登板し、1イニングを無失点に抑えた。4点リードの場面で、2番手で登板。3安打を浴び2死満塁のピンチを招いたものの、佐野を捕邪飛に仕留め切り抜けた。リーグ5位の25セーブを挙げているが、8月はセーブシチュエーション1回と、同点の場面1回で失敗し配置転換。矢野監督は「一番後ろでやっていたんですけど、いろいろ考えながら、優のいいところで使っていきながらというふうに考えて、7回に使いました」と説明した。

○…攻守に活躍の捕手坂本が「8番奪還」を誓った。マスクをかぶっては先発西純から岩崎、アルカンタラ、小林の無失点リレーを演出。バットを握っても7回2死一、二塁から三遊間を破るタイムリーを放った。西純とともにお立ち台に上がった坂本は「連敗中で難しい状況でマウンドに上がることになってしまったけど、そんなことを感じさせないくらいいい球を投げてくれた」と後輩右腕を絶賛。最後は「個人的には、純矢の試合で8番で出られるように頑張ります」とファンを笑わせた。

▽阪神小林(9回に登板して1イニングを1安打無失点)「自分としては一昨日の試合で点を取られてしまっていたので、今日しっかりやり返すことができて良かったです」

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