“鳥”に負けるな-。オリックスがハプニングをはね返して4連勝を飾った。6回の攻撃中に鳥の大群が襲来し、21分間中断。照明を落とすなど異様なムードになったが、再開直後に得点に成功した。同点の8回に吉田正尚外野手(29)の20号決勝ソロで接戦を制した。ソフトバンクも勝ったため首位奪取はならなかったが、0差で食らいつく。昨季王者が連覇に向けて止まらない。

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幕張の夜空から舞い降りたのは幸運の使者だったのかもしれない。

オリックスが2-1とリードしていた6回1死一、三塁。太田が打席に向かおうとすると球場に鳥の群れが襲来した。審判団は試合中断を決断。選手は全員ベンチに引き揚げ、照明も完全に落とされた。それでも鳥はグラウンドに居座った。突然登場したロッテ角中がバットで追い払うと、ようやく退散した。

21分間もの中断。「長かったですね。本当にめったにないこと。初めて見た」と中嶋監督もびっくりの珍現象。ナインは雨天中断時と同じように思い思いに時間を過ごした。太田は「うまく切り替えられた」と頭を整理。左前にはじき返す適時打を放った。

想定外すぎるハプニングにも動じないのが、今のオリックスだ。3-3と同点にされた直後の8回。またも主砲のバットが試合を決めた。吉田正が先頭で打席に入ると西野のスライダーを完璧に捉えた。右中間席に放り込む2戦連発の20号ソロで、接戦に終止符を打った。「1球でしとめられた。去年(の優勝)があるから今がある。そういうゲームを今いるメンバーで戦っていきたい」。前日も1点を追う9回に同点打。優勝争いのさなかの勝負強さは「さすが。頼もしい」と指揮官も脱帽するほどだ。

ソフトバンクが勝利し、首位奪取はならなかったが、残りは5試合。「全部いくつもりで。いい集中力で戦ってくれているのでね」。中嶋監督の言葉にも、日に日に熱がこもってきた。【柏原誠】

○…先発の山崎福が7回途中2失点と仕事を果たした。台風明けで風雨の中のマウンドだったが丁寧な投球を心がけた。3-1の7回、先頭に安打されたところで交代。降板後に同点とされ、勝ち星はつかなかった。「全体的にはしっかりゲームを作れたのはよかったと思う。最後の先頭打者への初球の入り方という部分は反省しないといけない」と振り返った。

○…伏兵の太田が貢献した。6回1死一、三塁。打席に向かおうとすると鳥の来襲にあい、試合は中断。再開直後に左前適時打を放った。「少し間が空きましたが、しっかりと切り替えて打席に入れました」。5回にも今季1号の勝ち越しソロ。15日の再昇格後は得点に絡む活躍が多い。名前はムクドリの椋(りょう)。鳥とは相性が良かった。

【ニッカン式スコア】20日のロッテ-オリックス戦詳細スコア