阪神岡田彰布監督(65)が20日、沖縄・宜野座キャンプでスロー調整の新助っ人ブライアン・ケラー投手(28=レッドソックス3A)に最後通告した。

2度目の実戦形式の打撃練習に登板したが、調整不足は否めなかった。この調子が続けば、指揮官は「投げられへんぞ」と開幕ローテーション争いからの脱落を示唆。期待の先発右腕が開幕を2軍で迎える可能性が浮上した。

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指揮官の言葉には、怒気をはらんでいた。先発として期待するB・ケラーが2度目の実戦形式の打撃練習で、打者11人と対戦。2イニング想定で42球を投げたが、3連打を浴び2四球を与えるなどピリッとしなかった。「簡単に打ち返されるもんな。危機感持たななあ。いつでも投げさせてもらえると思ってたら、そんな枠ないかも分からんぞ。今の状態を見とったら、なあ」。岡田監督はいら立ちを隠さなかった。

スロー調整による投げ込み不足が明白だ。今キャンプでは2日にブルペンで45球投げたが、2度目は中6日で9日に56球。14日に初の実戦形式の練習で打者4人に23球。先発としては球数も少なく「投げへんねんから分からへんよな、力がな」と、実力の見極めようがなかった。見かねた指揮官は14日の登板以降に「ちょっと危機感を持て。今だったら(開幕ローテーションに)投げられへんぞ、入れへんぞ」と投手コーチ、通訳を通じ右腕に厳しい言葉を伝えていた。

開幕ローテーション争いはすでに5枠が埋まるほどのハイレベルだ。エース青柳、伊藤将、西勇がすでに当確。若い西純、才木がキャンプで猛アピールし有力、残り1枠も左腕岩貞と大竹が激しく争う。

B・ケラーはこの日の投球に「しっくり来ない部分もあった」と本調子ではないことを認めた。その上で「日本人のペースが早かったり、どんどん100球投げたりとか、全然アメリカと違うので比べようにも比べられないが、(開幕まで)1カ月ちょっとあるので、早くしっかり(状態を)持っていけたら」と異国での調整の違いに戸惑いながらも、開幕ローテーションを狙う気持ちは変わらない。今後はイニングを増やし球数も増やす考えだ。

岡田監督も「そら、いつかは投げると思うけどな。オープン戦とかな」と、まだチャンスは与える構えだが、特別待遇することもない。指揮官の「最後通告」に改善の気配がなければ、開幕を2軍で迎えることになる。【石橋隆雄】

◆岡田監督10年開幕戦でのカブレラ外し オリックス監督就任1年目の開幕戦、10年3月20日の楽天戦(京セラドーム大阪)で、通年での4番固定を明言していたカブレラを先発から外した。「4番・DH」でスタメン出場の予定だったが、替わって出たのは北川博敏だった。カブレラは以前から「DHは嫌い」と主張。岡田監督は「まあ、いろいろな」と言葉を濁したが、起用を巡る不満に毅然(きぜん)とした態度を示した。翌日21日の同戦にカブレラは、その4番・DHでフル出場。3回に先制1号2ランを放ち、開幕2連勝に貢献した。「監督に従うのが選手。今日は僕の開幕」と殊勝に語った。岡田監督も「勝てたんは大きいよ」と手ごたえを感じ取った。