阪神佐藤輝明内野手(24)が、値千金の一打で単独首位キープに貢献した。1点リードの8回1死一、二塁。「初球からしっかりいこうと思って」。木沢の外角への直球系を振り抜いた。打球は一直線にグングン伸び、左中間を真っ二つにぶち破った。貴重な3点目をゲット。二塁に到達すると「そら(気持ち)出るでしょ」と両拳を地面に突き出すマッスルポーズで「シャーッ」と絶叫し、喜びを爆発させた。

中押しの一打が出るまでは3打席凡退と苦戦を強いられていた。ヤクルト先発の変則右腕、小沢を相手に2回無死一塁では左飛、4回無死二塁では空振り三振。6回は大西に二ゴロに仕留められた。6回の三塁守備では悪送球も喫していた。「変えたら打てるかなと思って」。上部が茶色、下部が白木のバットから、8回の4打席目は色合いが逆転した“逆ポッキーカラー”のバットにチェンジ。気持ちを切り替え、殊勲打につなげてみせた。

得意の球場で輝きを放った。神宮は今季セ・リーグ本拠地別では最高の打率3割6分7厘をマークするなど、敵地ながら“庭”としている。好きな球場の1つと認めつつ「でも好き嫌い言ってられないので」とサラリ。同じドラフト1位で同学年の木沢は通算で6打数3安打の打率5割、5打点と圧倒中。この日もキラーぶりを発揮した。

これで球宴を挟んで3試合連続安打。状態は上向きつつある。6月末の2軍落ちを経て、7月中旬まではやや停滞気味だったが、勝負の後半戦で息を吹き返してきた。若き主砲の打棒が、チームに追い風をもたらした。【古財稜明】