その背中が、また大きくなった。巨人岡本和真内野手(27)が、6回に3試合連発となる31号2ランを放った。6日広島戦で自身初の1試合3発の勢いそのまま2日ヤクルト戦から6戦9発とし、王貞治、バレンティンが持つ7戦9発のプロ野球記録を塗り替えた。チームは「伝統の一戦」で大接戦の展開にあと1点届かず惜敗し、首位阪神と9ゲーム差。43日ぶりに3位に浮上してからわずか1試合で、Bクラスに転落した。

    ◇    ◇    ◇  

岡本和がバットで歴史を築いた。3点を追う6回1死一塁、阪神西純に追い込まれながら、142キロフォークをバットの芯で捉えた。確信の一打は左翼バルコニー席に飛び込む飛距離131メートルの31号2ラン。「点差があったので、次につなごうと思った結果がいいホームランになりました」と、プロ野球史上初となる6戦9発を豪快に決めた。

8月をド派手にアーチで彩り続けている。2日ヤクルト戦から2試合連続2本塁打とすると止まらない。前カードの広島戦では自身初の3本塁打と、勢いそのままに本拠地での「伝統の一戦」で特大の1発。驚異的なペースでホームランを量産している。この6試合の間、打率5割、14打点と神がかっている。

夏男が夏のメロディーに乗せた。3打席目の登場曲を8月2日ヤクルト戦からサザンオールスターズ「盆ギリ恋歌」に変更した。毎年、年越しライブをテレビで欠かさず見るほどの桑田佳祐ファンで「球場に来た人に好きになってもらいたいと思って流している部分もある」。7月リリースの新曲に「気分転換です」と変更後は、東京ドームで3打数2本塁打と効果を発揮している。

歴史的アーチも笑顔はなかった。1点を追う9回2死一、二塁、サヨナラのチャンスで3番秋広が見逃し三振に倒れて試合終了。次打者席で悔しさをかみ殺した。勝つためには打つしかない。主将で4番。その背中で巨人軍をけん引する。【小早川宗一郎】

▼岡本和が3試合連続の31号。これで2日ヤクルト戦から2本→2本→0本→1本→3本→1本と6試合で9本の固め打ち。64年4~5月、70年6月、72年9月の王(巨人)と13年8月のバレンティン(ヤクルト)が7試合で9本塁打しているが、「6戦9発」はプロ野球史上初めてだ。この9本はすべて左方向。昨年の方向別本数は左16本、中6本、右8本だったが、今季は左27本、中3本、右1本。21年は右へ11本、20年も右へ9本と、これまでは広角に打っていた岡本和が、今季は引っ張り打法で本塁打を量産している。