1勝1敗1分けで迎えた4回戦。駒大(2部1位)が2試合連続となった延長10回タイブレークを制し、2季ぶりに1部昇格を決めた。

4-5で迎えた延長10回2死一、二塁。打席には代打の原尚輝内野手(2年=中京大中京)。「タイミングを合わせて、センターに振り抜くことだけを考えていました」と、カウント1-1からの直球を捉え、中前適時打で二塁走者が生還。中堅手が打球を後ろにそらす間に、一塁走者が三塁へ。さらに、中堅手からのバックホームを捕手が後逸し、サヨナラのホームを踏んだ。一塁ベンチからは選手たちが飛び出し、喜びの涙であふれた。

2回戦は引き分け。そして2試合連続のタイブレークと、厳しい戦いが続いたが、最後にチームを勝利に導いたのは、4年生の1部への思いだった。今春、1、2部入れ替え戦で東洋大に破れ、2部降格。岩本皓多主将(4年=関西)は「春は4年生が2部に落としてしまった。秋は俺たちが責任をもって、後輩たちに1部のバトンを渡そう、とずっと言ってきた」と、真っ赤に腫らした目で言葉を振り絞った。

チームを立て直した。岩本は「1部で目指している野球ができなくて負けた。徹底的に自分たちの野球を試合でできるように練習しました」と振り返る。大倉孝一監督(61)が出すサインの意味、考え方、目指す野球を理解。練習からミーティングまで会話を増やし、徹底した。「私生活も寮生活を1から正しました」。掃除、時間厳守、整備。「だんだんよくなってきている」とチームの一体感を感じながら臨んだ入れ替え戦。「最後までやりきろう」という思いが、勝利をたぐり寄せた。

春の入れ替え戦と同じ東洋大に雪辱を果たし、最短で1部昇格を決めた。大倉監督は「春、足りないものがあるから2部に落ちた。そこに取り組もうとみんな、前向きに4カ月…」と、話したところで言葉を詰まらせ、「いかん、泣きそうになる…。よく頑張りました」と、涙をぐっと堪えた。

1部の厳しさを身をもって感じた1年。原は「来年は、まずは1部残留が目標。自覚と責任をもってチームの中心になりたい」と話し、「この4年生と野球ができてよかったです」と、岩本を笑顔で見つめた。