阪神岡田彰布監督(66)が、全打順入れ替えで5試合ぶりの白星をたぐり寄せた。昨年全試合で4番を務めた大山悠輔内野手(29)を5番に下げるなど1~8番まで全打順をシャッフル。オリックス時代、第1次政権でもなかった大胆な打順変更で引き分けを挟んでの連敗を3で止めた。球団の監督通算勝利数は吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)に並ぶ2位タイの484勝目となった。

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試合前のアナウンスにバンテリンドームが騒然となった。1番ショート木浪、2番キャッチャー梅野、3番センター近本、4番サード佐藤輝…。投手を除く全打順が前日までとまるで違うオーダー。38年ぶりに日本一に輝いたオーダーを「解体」。6戦連続で2得点以下と、苦境を抜け出せない打線の大幅組み替え。開幕15試合目に待っていた打順はサプライズとも言える並びだった。

岡田監督にとってオリックス指揮官時代も含め、スタメンの全打順入れ替えは初めての出来事。なかでも驚きは4番の変更だった。指揮官が「みんなが認めとる」と話す不動の4番を5番に下げた。昨年全試合で4番を務めた大山は打率1割台と苦しんでいたことは間違いない。ただ、岡田監督はこれまでの第1次政権では金本、第2次政権では大山を全試合で4番に起用してきた。それだけに大きな決断だったに違いない。

21年7月14日DeNA戦以来となる「8番」に座った中野は「監督も何かを変えないといけないと思って、打順を入れ替えたわけなので、みんな打順が変わっても、やるべきことは変わらないと思っていた」とチームの思いを代弁した。その選手会長が7回の決勝打を含むマルチ安打。梅野も、約1年ぶりの2番で同点打をマークした。

試合は2-1の辛勝。4安打2得点とまだ大爆発とはいかないが、執念でつかんだ1点差の勝利だ。岡田監督にとっては、吉田義男氏に並ぶ球団監督歴代2位タイの484勝目だった。阪神初の日本一に85年、指揮官と選手としてともに戦った間柄。恩師が掲げた「守りで攻める」を受け継ぐからこそ、接戦をものにできる。

一昨年までの評論家時代も、スタンドから選手たちの守備をじっと見ていた。「ちょっとやり方を変えるとね、改善できるんじゃないかというのは思っていた」。中野を二塁にコンバートするなど動き、守備の基本を徹底した。セ5球団との対戦が一巡して6勝8敗1分けのリーグ4位。昨季の王者が壁にぶち当たっていることは間違いない。だが、虎のベンチには百戦錬磨の指揮官がいる。基本に忠実に、時に大胆に。岡田野球でここから上昇をはかる。【磯綾乃】

▼阪神は前日13日と全打順を入れ替えた。岡田監督が全打順を入れ替えるのは、阪神での1次政権時とオリックス監督時も含めて1299試合目で初めて。また、4番に佐藤輝を抜てき。岡田監督が阪神監督時に4番を変更したのは初めて。04~08年は金本知憲が、23年と24年の前試合までは大山悠輔がすべての試合で4番に固定されていた。

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