西武は27日、田村伊知郎投手(31)に戦力外通告を行った。
ダンディぶりではチーム内で追随を許さない。内心では苦しく悔しいこの日も、握手を交わすチームメートや関係者にむしろ、自分から優しい笑顔を示した。
1軍で20試合に投げ、防御率3・58。1イニングあたりに許した走者は、チーム平均とほぼ同じ1・19人。ただチーム内の必勝リレーが固まり、起用場面で限られるだけに、失点が目立つケースもあった。
「うーん、力を出し切れなかったなっていうよりは、準備も含めてけっこうやることもできてて。1週間で複数イニングが重なって、そういうタフな部分で結果を出せなかったというところですかね」
冷静に自分を見つめた。出力を高めるため、交流戦からはセットポジションの足の形を変更。「今はさらに改善もできて感覚もいいので、来年行けるな~って手応えをもって練習してたので」。ただ、通告は潔く受け止めた。
ダンディで潔い。2軍生活が続いた。「トレード候補」「現役ドラフト候補」と田村の身の上を身勝手に書き立てるネット媒体の記事が増えた。
そういうものを「あぁ、目に入ってくることもたまにありますよ」と話していたことがある。でも。
「自分がコントロールできないことを気にしたところで何にもならないので。ひたすら自分のできることを100%やって、それでダメだったらそれはもうそこまでだし。その結果、次の道になるかもしれないですけど、自分にとってのいい道になることを信じてやってきたので。だからいつも、目の前のことを100%できてるかの自問自答って感じですね」
2軍生活が続いても「ファームの遠征先まで見に来てくれる熱いファンの方もたくさんいましたし。タオルとかもたくさん掲げていただいて」と自分の信じるもの、自分を支えてくれる人々を大事にしながら、ここまで投げてきた。
節目が来た。「帰ってから家族とも話します。でも引退はしませんよ」と、どこか己を奮い立たせるように言う。うつむかず、むしろ胸を張って、家路についた。【金子真仁】



