<ヤクルト1-6巨人>◇17日◇松山

 巨人が首位固めに入った。愛媛・松山でのヤクルト戦で快勝し、地方球場で08年8月から11連勝。同点の7回、亀井義行外野手(27)が由規から中前勝ち越し打を放ったが、右投手からは33打席目にしての初安打。ルーキー長野久義外野手(25)が走攻守で光り、先発東野峻投手(23)は6回1失点で3連勝。貯金は5、2位中日とのゲーム差を1・5に広げた。

 悩んだ末の一打に、巨人亀井はベース上で両手をたたき喜んだ。1-1の7回無死一、三塁、ヤクルト由規から勝ち越しの中前打。フォークをはじき返し、前進守備の間を抜いた。「チームに迷惑を掛けてきたので、打てて良かった。とにかく自分を信じて無心でいきました」とホッとした表情を見せた。

 つなぎの打線で好投を続ける由規を攻略。6回までは、わずか1安打に抑えられた。7回、先頭阿部が敵失で二塁出塁。ここから単打4本を重ね4点。勝ち越し打は打率1割台の亀井だった。

 昨季、5番に定着。今季は全試合5番を目標としながら、開幕8戦目で外れた。「去年の打撃フォームに、なんで戻らないか不思議なんだよ」と漏らした。昨季の映像をチェック。鏡に自分の姿を大映しにし、素振りを繰り返した。苦悩は目にも表れ、打席前に目薬を手放せなくなった。左打者ながら右投手から打てず「なんでか分からない」と悩みは深かった。この日の勝ち越し打が今季右投手から放った初安打。「きっかけにしたい」。原監督も「勝負強い。大きいです」と目を細めた。

 勝ち越し機は長野が演出した。無死二塁で逆方向への右前打で一、三塁と好機を広げた。「何とか結果を出せました」と謙遜(けんそん)したが、5回にはチーム初安打となる右翼線二塁打。続く亀井の二ゴロで三進し、脇谷の浅い犠飛で先制ホームを踏んだ。守備でも1回2死一、二塁で、宮本の右前打で本塁を狙った二塁走者を正確な返球で刺した。亀井が「(右翼の)レギュラーを奪い返さないと」と口にするほど、意識させている。互いにライバルでもある「チョーカメ」コンビが光った。

 日本に野球を広め新世紀特別枠で野球殿堂入りした正岡子規ゆかりの地、松山。日本野球の「原点」ともいうべき場所で、進塁打や教科書通りの中前打で勝ち越し。今季スローガン「原点」に通じる攻撃で原巨人が勝利した。【古川真弥】

 [2010年4月18日9時41分

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