＜阪神９－４巨人＞◇１日◇甲子園
真弓阪神がヤングパワーで首位巨人をねじ伏せた。７－２の６回、先発スタンリッジが連打を浴びて３点差となった場面で、２年目の西村憲投手（２３）が登場。無死満塁の大ピンチから１番坂本を二飛、２番脇谷と３番小笠原を連続三振で仕留めて、追加点を許さなかった。今季開幕２戦目の横浜戦でプロ初勝利を挙げた推定年俸９２０万円の右腕が、今季初の４連勝の原動力となった。２位阪神は巨人に１ゲーム差と迫り、２日も勝てば勝率で巨人と入れ替わって首位に立つ。
巨人打線に５点差から３点差まで追い上げられ、なお無死二、三塁。真弓監督が「２、３点は覚悟しなきゃいけない」と振り返った６回の大ピンチで、西村は胸を張って登場した。
前夜サヨナラ勝ちして勢いに乗っているとはいえ、首位攻防戦の行方を左右しかねない局面。球場全体が、１球ごとにどよめく異様な雰囲気の中、代打矢野を四球で歩かせて満塁。だが、ここから度胸満点の３人斬（ぎ）りだ。坂本は外角スライダーで二飛。脇谷は外角１４５キロ直球で３球三振。最後は小笠原の胸元へ１２９キロのスライダーを投げ込んで空振り三振を奪った。計２１球の熱投。割れんばかりの歓声が飛び交う中、２３歳はグラブをたたいて両手を突き上げた。
甲子園初のお立ち台で西村は「本当、ファンの方に、え…」。堂々たる火消しのマウンドさばきとは対照的に、言葉に詰まる初々しさで観衆をどっと沸かせた。笑顔に戻ると「ファンの皆さんの声援が力になりました。ありがとうございます」と声を弾ませ「伝統の一戦で気合の入る一戦だった。打者に向かっていくのが持ち味。抑えられたことは良かった」と喜んだ。
３月２７日横浜戦（京セラドーム大阪）でプロ初勝利。翌日の新聞紙面に、どうしても手に入れたいモノを見つけた。ダイエー（現ソフトバンク）時代から大ファンだった捕手城島と、お立ち台に立った写真だ。すぐに関係者に依頼し、新聞紙大のパネル写真を作成。新たに手に入れた宝物は今、福岡市内の実家で大切に保管されている。
あこがれの対象だった城島は興奮気味だ。「間違いなくヒーローは西村です」と言い切り「怖いとか心配するのは捕手と監督とコーチでいい。痛い思いを２、３回するまでは怖いもの知らずでいいと思う」と話した。１３試合で無傷の３勝、防御率０・６３と抜群の安定感。阪神の快進撃を支える西村「（巨人に）３連勝して首位に立ちたいと思います」と力強く宣言した。【佐井陽介】
［2010年5月2日8時43分
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