<日本ハム7-3楽天>◇9日◇函館

 主砲のドラマチック弾で、日本ハムが今季2度目の3連勝を飾った。同点の7回2死満塁で、打撃不振で打順6番に降格している高橋信二捕手(31)が今季2号の満塁本塁打を放ち、接戦にケリをつけた。3年ぶり自身5本目となるグランドスラムで、難攻不落の楽天田中をKO。8日のサヨナラ劇に続く快勝で、交流戦前ラストの函館2連戦を連勝締め。巻き返しへ向かう、最高のスタートラインが完成した。

 傷んだ心身が、少しだけ癒やされた。高橋が、大仕事を遂げた快感にどっぷりと浸った。函館の広がった青空の下、独り占めした、お立ち台。謙虚に言葉をつないでいった。「こんな僕でも大きな応援をいただいてきて、本当にありがとうございます」。決勝のグランドスラムを、球界屈指の右腕からかけた。失意に沈んでいた大砲から勝負を決める快音が、ようやく鳴った。

 開幕から任された4番の重責に一時、打ち砕かれた。4月終了時に打率2割1分4厘。5月1日の西武戦を欠場し、翌2日の同戦から昨季の躍進でつかんだ、主砲の座を譲った。4月中旬には急性胃腸炎を患い、3試合でスタメン落ちをした。点滴だけの生活を余儀なくされ、体重が5キロ減った。ベルトの穴が2つも、縮まるほど、肉体的にも追い込まれる日々だった。

 通常の食事が可能になってからも、異常は続いた。「体がフワフワした感じで、自分のものじゃないみたい。力も入らない」。タンパク質を主成分とするサプリメント、プロテインを2軍時代以来、摂取して体重減を抑制しながらという闘いの日々を過ごした。「(心中は)葛藤(かっとう)どころの騒ぎじゃない。情けない自分が立ちはだかっていた」と、苦悩の闇は深かった。

 いきなり視界が開けた。7回2死満塁。田中のほぼ真ん中の速球を、左中間最深部へと運んだ。3年ぶりとなる自身5本目の満塁弾。梨田監督が「いいホームランだった」とたたえる、付加価値十分の1発になった。岩隈、田中が先発した今カード。エースのダルビッシュの快投、主砲の復活劇と、最高の形での連勝へとつながった。「まだまだ借りがある。大爆発できるようにします」。高橋が上げた気勢が、狙いを定める、大まくり劇への合図になった。【高山通史】

 [2010年5月10日12時4分

 紙面から]ソーシャルブックマーク