<西武2-1阪神>◇9日◇西武ドーム

 パ・リーグ首位の西武がサヨナラ勝ちで、交流戦の単独首位に立った。1-1の9回2死二塁から、片岡易之内野手(27)が左前適時打を放って4連勝とし、初の交流戦優勝に前進した。先発涌井秀章投手(23)は初回に1点を失ったものの、2回以降は阪神打線を2安打に封じて三塁を踏ませなかった。149球の力投でリーグトップに並ぶ8勝目、交流戦通算トップタイの17勝目を手にした。

 回を追うごとにすごみが増した。涌井の圧巻の投球がサヨナラ勝ちを呼び込んだ。球数が120球を超えた8、9回。威力十分の直球は、この日最速147キロを3度計測した。「汗をかいたら体も切れてきて、気持ちも入った。真っすぐも指にかかってきた感じがあった。後半は打たれるイメージがなかったです」。1回に1点を失ったが、2回以降は2安打に封じた。絵に描いたような尻上がりの好投。いつも通りのポーカーフェースに、いつも以上に憎らしいほどの自信があふれた。

 マウンドを譲る気などなかった。「8回に味方が点を取ったら交代って(渡辺監督に)言われて。全然投げ足りなかったんで、思わず『えっ?』って言っちゃいました」。張りつめた緊張感の中で投げ抜いた149球。それでも「疲れた?

 全然。これから遊びにいってきます」と、笑って帰りの車に乗り込んだ。

 無尽蔵のスタミナは、7日に日米通算150勝を挙げたレッドソックス松坂に重なる。言わずとしれた横浜高、西武の先輩。キャッチボールで好んで使うキャッチャーミットは「M

 18」の刺しゅうが入った、松坂からのもらいものだ。「もらってから全然手入れしてないですもん」と笑うが、宝物は色あせるほど使い込まれている。2軍調整中のルーキー雄星は、涌井にあこがれて左投げのキャッチャーミットをつくった。自分が松坂から受け継いだように、涌井もまた次代のエース候補にその背中を追いかけられる存在になった。

 そして、132試合目で64勝目を挙げた後輩は「あの人(松坂)の実力を考えたら遅いんじゃないですか」と言ってのけた。交流戦初制覇へ負けられない一戦で見せた、満点快投。エースはやっぱり期待を裏切らない。【亀山泰宏】

 [2010年6月10日9時45分

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