<阪神9-6ヤクルト>◇15日◇京セラドーム大阪

 金本さんに続きました-。8回、城島健司捕手(34)が金本の同点打に続き、勝ち越し二塁打で勝利をたぐり寄せた。「ゴロでもいいからバットに当てたいと思った」とフォークをさばいて、5試合連続打点の勝負強さ。金本と2人でお立ち台に登場したジョーは、バットだけでなくマイクでもファンを喜ばせた。

 城島が、珍しく焦っていた。金本の同点打に続く8回無死一、三塁の絶好機でカウント2-0の3球目。松岡の低めフォークを右ひざが地面につくほど沈み込んでバットで拾った。左翼フェンス直撃の勝ち越し二塁打。二塁ベース上で右拳を突き上げた。絵になる男が体勢を崩したままガッツポーズ。「打ててよかった。ちゃんとつなぎました、やりましたよって感じですよ」と興奮した。

 無理もない。これで5試合連続打点となった無類のクラッチヒッター(勝負強い打者)が重圧を感じた相手は「鉄人」金本だった。7番城島は6番金本が無死一、二塁で打席に向かう前にこんなやりとりをした。

 金本

 バントしようか?

 城島

 (犠打は)プレッシャーがかかるので、ヒットを打って、1点入れて、一、三塁でお願いします。

 ジョーは直後に、アニキの有言実行の同点打を目撃した。「本当にその通りになって。すごい。びっくりした」。しかも一塁上の鉄人からビシッと指を差された。「『お前の望む方にしてやったんやからお前も打てよ』みたいな感じ。これは打たないかんと思った。ゴロでも何でもいいからバットに当てなきゃ。何としても当てなきゃいけない」と、無我夢中で食らいついた。

 自らのバットで、絶好調ヤクルトから連勝をゲットした。ただジョーは「ヤクルトに勝ち越した感覚がない。非常に苦しいというか」と振り返った。好調なツバメ打線に3試合で合計34安打16失点を喫した。「失点する度にヤジられました。『城島、交代!』と言われたけどね。僕は褒められて伸びるタイプなんだけど」と苦笑い。それでも粘り強いリードとバットで4カードぶりの勝ち越しを呼び込んだ。「どんな形でも勝ちがついてよかった。長かった」と笑顔を見せた。

 ヒーローインタビューは、初めて金本と2人で並んだ。鉄人が元広島山本浩二氏の安打記録を抜いたことを知って「僕も山本浩二さんを抜きたいです」とジョークを飛ばし、場内の笑いを誘った。阪神ファンが待ち望んだ豪華なお立ち台の光景が、猛虎再加速のスタートになる。【益田一弘】

 [2010年8月16日11時34分

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