<ソフトバンク4-2ロッテ>◇27日◇福岡ヤフードーム

 あっと驚く伏兵が、ソフトバンクを20日ぶりの単独首位に導いた。4年目の森福允彦投手(24)が、2点リードの5回裏1死満塁のピンチで、2番手として登板。気迫のマウンドで、1回2/3を1安打無失点に抑え、自らのプロ初勝利とともに、チームの勝利を呼び込んだ。救援カルテット「SBM48」の疲労が心配される中、もう1人の「M」が救世主になった。V奪回に向け、もう、立ち止まらない。

 ソフトバンクに救世主が現れた。2点リードの5回裏。1死満塁のピンチで「ピッチャー、森福」の名前がコールされた。勝利の方程式「SBM48」の誰でもない投手の起用に、ざわめく観客席。だが数分後、そのざわめきは大歓声に変わった。

 一打同点、長打なら逆転の場面。打席に3番井口を迎えた。その井口に対し5球連続で強気に内角を攻めると、最後は外へ逃げるシュートで空振り三振。さらに4番金泰均には初球のシュートでどん詰まりのニゴロに打ち取った。絶体絶命のピンチを無失点に切り抜けると、一塁手の主将小久保と勝利したかのようにハイタッチを交わした。

 森福

 (リードした場面での登板は)自分の中でも不思議な気持ちだった。リードした場面で使ってくれた監督、コーチに感謝して強い気持ちで投げた。

 今季22試合目の登板で、リードした展開を任されるのは2度目だ。1度目はワンポイントで、打者1人に対し1安打。その後は敗戦処理のマウンドが続いたが、辛抱強く1歩ずつ首脳陣の信頼を勝ち得てきた。前日26日のオリックス戦で2回を無失点に抑え、この日の大事なマウンドを託された。「勝ってる場面で緊張もあったけど、やってやるぞ、という気持ちの方が強かった」。首脳陣の期待に応え、強打者にひるまず立ち向かった。

 勝負の4年目と位置づけた今季も、開幕から結果を残せず4月中旬には2軍落ちした。結果が出せない自身へのいら立ちから髪を金色に染め、2軍首脳陣から激怒されたこともあった。悪循環が続く中、自分の持ち味をもう一度考え直した。シダックス時代に指導を受けた野村監督の言葉を思い出した。「ピッチャーはスピードじゃなくてコントロール」。入団以来ずっと課題だった右打者対策に徹底的に外角球の出し入れを磨いた。この日の5回のピンチも右の強打者2人を、外角球で仕留めた。

 一時は首位に5・5差をつけられていたチームは前日、ロッテと同率首位に並んだ。そしてこの日、8月7日以来の単独首位に立った。秋山監督は「森福が昨日に続いて、しびれる場面でいい投球をしてくれた」と、殊勲の左腕をたたえた。苦しい試合を1つずつ勝っていけば、V奪回というゴールが近づいてくる。

 [2010年8月28日11時15分

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