<パCSファイナルステージ:ソフトバンク1-5日本ハム>◇第2戦◇16日◇ヤフオクドーム

 3戦連発で王手を阻止!

 日本ハム中田翔内野手(25)がCSの3試合連続本塁打で勝利に導いた。6回に2-1と逆転した直後の2死一塁、ソフトバンク武田の変化球を左翼スタンドに放り込んだ。ファーストステージ第3戦からの3試合連続アーチで、プレーオフでは08年中日ウッズ以来の3戦連発。ソフトバンクとの対戦成績を、相手アドバンテージを含め1勝2敗とした。

 中田が、どや顔で打球の行く先を見つめた。敵失で逆転した直後の6回2死一塁。高めに浮いてきたスライダーを見逃さなかった。「ここしかないと思った。(逆転した)流れを切らないように」。完璧な打球は左翼席まで飛ぶ2ランとなり、一気に突き放した。8回にも適時二塁打と、4番の役目を果たした。

 孤軍奮闘している。上位打線が軒並み低迷する中での3戦連発。中田は「カバーしないと」と、おとこ気あふれる思いで打席に立っている。この日は好守もあった。2回無死一塁。左翼前方の飛球を捕球後、素早く一塁へ投げて併殺を完成させた。前夜はサヨナラ負けし、この日は初回に先制された。負の流れを食い止めるビッグプレーだった。

 重圧かかる一戦でも、試合前から自然体だった。練習見学をしていた小学生くらいの男の子にバットを貸し、スイングを見てあげた。「ええやん。1番、9番タイプやな」。優しい笑みで記念撮影にも応じた。大のこども好きで、少年との交流を力にしている。

 7月5日もそうだった。ロッテ戦前、スタンドに見覚えのある顔を見つけた。2軍本拠地の鎌ケ谷で交流があった小学2年生の千葉和己(かずき)君(8=東京・江戸川区在住)だった。「今日は僕の誕生日だから、ホームラン打ってください!」。これを聞いた中田は「ヨッシャ、打ったる」と応え、初回に14号ソロを放った。8月中旬、お礼の手紙が届いた。「かっこよくて、やさしくて、強い中田さんは、ぼくのヒーローです」。ひらがなの多い文面を、うなずきながら見入った。4番として、プロ野球選手としての使命を再確認した。

 栗山監督も、うなった。「さすが4番。こっちは全部ホームランを打てると思っている」。期待通りの活躍でチームに漂っていた暗雲を振り払った。過去、CSファイナルステージ初戦に敗れたチームの突破は0%だが、主砲の3連発で負のデータを覆す希望が出てきた。中田は言う。「とりあえず明日、振り出しに戻したい」。下克上での日本シリーズ進出へ。決戦はここからだ。【木下大輔】

 ▼中田が1S第3戦から3試合連続本塁打。プレーオフ、CSの3試合連続本塁打は、08年1S第2戦~2S第1戦ウッズ(中日)以来2人目で、パ・リーグでは初(同一ステージの3戦連発はまだなし)。ウッズは5点差での本塁打があるが、中田は3本とも1点差以内で打った価値ある1発だ。日本シリーズでも連続本塁打は3試合が最多で、58年第5~第7戦中西(西鉄)85年第1~第3戦バース(阪神)00年第1~第3戦城島(ダイエー)03年第3~第5戦金本(阪神)が記録。