<全日本大学野球選手権:東海大4-1東日本国際大>◇14日◇2回戦◇東京ドーム

 東海大(首都)が「菅野効果」で快勝発進した。昨秋ドラフトで日本ハムから1位指名されるも入団拒否して大学に残った菅野智之投手(22=東海大相模)と紅白戦で対戦し自信をつけた打線が10安打を放った。

 菅野効果テキメンだ。東海大打線は2回、小笠原涼介内野手(4年=東海大仰星)の左越えソロを号砲に、8回まで毎回安打をかっ飛ばした。先発9人中7人の10安打。横井人輝監督(50)は大会前、この光景を予言していた。「右の正統派なら、打てますよ」。

 開幕直前の10日。ナインは紅白戦で、強力すぎる打撃投手を相手にしていた。“ドラフト浪人”中の菅野だった。7回を投げた157キロ右腕から、8安打2得点を奪取。ドラフト1位を打てて、他を打てないわけがない。その日二塁打した坂口真規内野手(4年=智弁和歌山)は「あれで勢いがつきましたね」。全国大会初の4番で、勝ち越しの足掛かりとなる中越え二塁打を放った。

 陰の功労者、菅野はスタンドで観戦した。「全力で投げても食らい付いてくる打線になった。ぼくが投げた効果なら、すごくうれしい」と喜んだ。2年前、あと1歩届かなかった大学日本一を弟分たちに託した。

 そして忘れてはならない、この男。菅野の意思を、最も強く受け継いだ伏見寅威(とらい)主将(4年=東海大四)。1年時から菅野とバッテリーを組んだプロ注目捕手だ。7回1死一、二塁ではスライダーを捉え4点目を演出。さらに「少しでも投手の不安を減らしてあげたくて」。サインが見づらいドーム環境を考慮し、右手の爪に黄色いマニキュアを塗って臨んだ。大黒柱の穴は、総力戦で埋める。東海大が好スタートを切った。【鎌田良美】