侍の大和魂を全身で示した。侍ジャパンのラーズ・ヌートバー外野手(25)が、1次ラウンドB組の伝統の「日韓戦」で躍動した。

3点を追う3回無死一、二塁、反撃の中前適時打を放ち、力いっぱいのペッパーミルパフォーマンスでナインを鼓舞した。1点リードの5回1死一塁には中堅前への浅い飛球をダイビングキャッチ。2点リードの6回無死一、三塁では死球を受けて相手投手をにらみつけた。“たっちゃん侍”が攻&守&魂あふれるプレーで、日本打線をけん引した。

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ヌートバーが万雷の「ヌー」コールに包まれながら観客を見渡した。お立ち台で注目を一身に集める。「ニッポン大好き、みんなありがとーーー!」。日本語で、違和感のないアクセントで右拳を掲げながら叫んだ。東京ドームのボルテージは最高潮だった。闘志あふれるプレーでファンのハートをがっちりつかんだ。

まさに日の丸を背負った侍だった。2点リードの6回無死一、三塁、韓国5番手の金允植の2球目がすっぽ抜けた。左肩付近に激突。思わずバットを放り投げて投手をにらみつけた。勝利への執念がにじみでた。緊迫感にあふれる場面も「ちょうどこっていたところにぶつかったので、ほぐれたのでちょうど良かった」とアメリカンジョークでファンを笑顔にした。

常に全力だった。3点を追う3回。ダルビッシュが打たれて先制を許して重たいムードが漂う無死一、二塁、反撃の中前適時打を放った。一塁ベース上では感情を爆発させて力いっぱいのペッパーミルパフォーマンス。気迫を前面に押し出してナインを鼓舞した。ヌートバーから始まり、いまやナインの誰もがガッツポーズの代わりにこしょうをふる。「チームメートもファンの皆さん受け入れてくれてすごいうれしいですし、一体感のあるセレブレーションとなっていますので続けていきたい」とうなずいた。

1点リードの5回1死一塁には中堅前への浅い飛球をダイビングキャッチ。舌をぺろっと出しながら打球を追い、歯を食いしばってつかみ取った。2日連続のスーパーキャッチにベンチの大谷も思わず万歳するほど。「最高の気分です。日本代表メンバーの一員になれて光栄ですし、勝てて良かったです」。アメリカで生まれたサムライの闘志が熱く燃え上がった。【小早川宗一郎】

○…岡本は2安打1打点の活躍で勝利に貢献した。5回に中前へ安打を放つと、10-4の6回には1死一、二塁から左翼へ適時打を放ち、リードを7点に広げた。前日の中国戦では無安打に終わったが、この日は大会初安打、初打点を記録し、修正力を発揮。「正直、ホッとしたところはある。今日は今日で、また明日しっかりできるようにやりたいと思います」と振り返った。

▼試合前には円陣で初の声出しを行った。「兄弟として、家族として残り6試合。昨夜の試合で緊張が解けたので今日は自由に動きましょう」と呼びかけ、最後は日本語で、さらに迫力に満ちた声で「ガンバリマス !  サーーイコウ ! 」とナインに気合を注入。自身初の日韓戦で盛り上げた。

◆日本の準々決勝進出条件 1次ラウンドは各組上位2チームが準々決勝に進む。日本は早ければ今日11日にも準々決勝進出が決まる。11日の進出条件は日本がチェコに○、オーストラリアが中国に●。日本は勝てば1次ラウンドB組で3勝1敗以上が確定。韓国と中国はすでに2敗しており、オーストラリアとチェコのいずれかも直接対決によって2敗以上となる。