20日に74歳の誕生日を迎えたアントニオ猪木が21日、都内でバースデーパーティーを開いた。その席上で「世界平和プロジェクト『ファイト&ピース』イン パキスタン」を、3月23日(予備日3月24日)に、パキスタンとインドとの国境の町・ワーガで行うと発表した。

 猪木は会見の中で「ISに向けて、彼らがやっている行為が、どういうことかというメッセージをしていきたい」と強調。1990年(平2)に、イラクで「スポーツと平和の祭典」を開催し、イラクのクウェート侵攻後、人質とされた邦人を解放するなどプロレス、格闘技を通じて全世界に平和のメッセージを発信するイベントを続けてきたが、今回のターゲットとしてイスラム国(IS)を名指しした。

 猪木 1つには、ISに向けてですね、国連も米国も全ての国が制裁という形で。確かにやっていることは理不尽だし、そこに対して、なぜ、こうなったかという歴史も分からない。そういう部分を、世界の人たちに、こういうイベントを通じて世界が平和でありますように、という意味で、このイベントを企画しています。

 ワーガは、インドのアムリトサルとパキスタンのラホールとの間にある町だ。インドとパキスタンが分離独立した1947年(昭22)に、新たに国境となったラドクリフ線によって町が2つに分断され、東半分はインド、西半分はパキスタンに属することとなった。そのことから「アジアのベルリンの壁」と呼ばれる、国際政治、特にアジアにおいて重要な場所だ。

 猪木とパキスタンとの縁は深い。異種格闘技戦線に打って出た猪木は、76年6月に故ムハマド・アリさん(享年74)との対戦で世界的に有名となった。その猪木に、パキスタンの格闘技の英雄アクラム・ペールワンが挑戦に名乗りを上げ、1976年(昭51)12月12日にカラチのナショナルスタジアムで対戦した。猪木は同戦で、ペールワンの左腕をアームロックで決め、脱臼させて完全勝利をつかんだ。

 その後、猪木はアクラムのおい、ジュペール・ペールワンと1979年6月17日と戦い引き分けた。その後、アクラムの墓参を行ったり、現地でプロレスの大会も開催している。またジュペールのおいハルーン・アビッドが、14年に東京・日体荏原高に入学した際、猪木は入学式にも出席している。

 現地では現状、6試合が予定されている。この日、発表されたのは、以下の5試合。

 (1)ボビー・ラシュリー(TNA世界ヘビー級王者)-モンターニャ・シウバ(アマゾンの大巨人)<プロレスリングマッチ>

 (2)パキスタン人選手-タカ・クノウ(グラップリング世界王者)<グラップリングまたはレスリング>

 (3)パキスタン人選手-イランのレスリング王者<グラップリングまたはレスリング>

 (4)シング・心・ジャディブ(K-1ワールドGP2009アジアGP王者)-ラドゥ・スピンゲル(WKA世界スーパーヘビー級王者)<キックマッチ>

 (5)パコーン・P・K・セーンチャイムエタイジム-マサ佐藤(英雄伝説64キロ級王者)<ムエタイテストマッチ>

 猪木は、パーティーの冒頭から「元気ですか~~~!! 元気があれば何でも出来る!! 元気があれば、子どもも出来る!! このセリフだけで飯を食っております。74にかけて、何もなしのパーティー。元気じゃない人は、この世にいちゃダメだ」などと絶口調だった。

 上機嫌だったのか、トークは止まらず「『おとなの階段上る』という歌があるけれど、今、私が階段を上ると胸がバクバクする」などとジョークを飛ばした。また国会で、安倍晋三首相に質問した際「元気ですか~~~!!」といつものように言ったところ、「心臓に悪いので、やめてほしい」と言われたと明かした。【村上幸将】