昨秋G1クライマックスを連覇した飯伏幸太(38)が、2冠王者内藤哲也(38)を破り、IWGPヘビー級、同インターコンチネンタルの新王者に輝いた。昨年11月に挑戦権利証を失った。失望の中、内藤から指名を受け、そのチャンスをものにした。

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内藤の理詰め攻撃が、飯伏の爆発力に屈した。ブルマ・ブランカやエルボーなどで首攻撃を徹底。場外での投げっぱなしジャーマン、リバースの雪崩式フランケンシュタイナーで首にダメージを与えた。徐々に相手の体力を削った。垂直落下で脳天から落とすバレンティア、旋回式を含めて2度のデスティーノでも3カウントを奪えなかった。3度目のデスティーノを狙ったが、切り替えされて膝攻撃で動きを止められ、3度目のカミゴェで撃沈した。

ふらつきながら会見場に姿をみせた内藤は「今回のオレの選択、2日連続での防衛戦にチャレンジし、その初日で敗れてしまったわけだけど、後悔はないから」と納得の表情。試合後、2本のベルトを託すように飯伏に渡した。「お互い今日勝っても、明日はジェイ・ホワイト戦が控えている状況。そんな中、今日、100%俺の方だけ見てくれた飯伏幸太に感謝していますよ」と敬意を表した。

「ワクワクしていた」という同じ年齢の飯伏にメインで屈した。過酷なドーム2連戦の2冠戦を自ら選択したが、その思いは4日に終わった。敗れはしたものの、21年も新日本プロレスをけん引する存在であることには違いない。内藤は最後に言った。「俺はまた、この東京ドームのメインイベントに戻ってくるから。その時をトランキーロ、焦らずに、お待ちください」。勝負を超越した関係にある飯伏とのファイトを終えた内藤は、敗者であっても輝いていた。【藤中栄二】