双子レスラーの直接対決は兄が勝利した。角界からプロレスラーに転向し、今月9日にデビューした兄の斉藤ジュン(34)と弟レイ(34)が、初のシングルマッチで対戦。兄ジュンがわずか4分で、弟レイから逆エビ固めでギブアップを奪い、貫禄を見せた。「まさか、こんなに早く当たるとは思わなかった。兄の方が強いことを証明できて良かった」と初勝利を喜んだ。

先制攻撃はレイだった。リング中央でのショルダータックル合戦を制すると、ボディスラムでたたき落とした。中盤にはコーナーで相撲の仕切り後に突進してぶつかり合うシーンも見られた。その後はジュンがペースをつかみ、最後は逆エビ固めでギブアップを奪った。20日松本大会で一緒に組んだときに、レイが逆エビ固めで敗れたのをそばで見ていた。「腰が弱いなと。勝てるとしたら逆エビだろうと、思い切って勝負した」と狙い通りの勝利に納得の表情を見せた。

これまで2人でタッグを組み、3戦を戦うも、未勝利だった。193センチ、109キロのジュンと192センチ、119キロのレイ。誕生日が同じ二卵性の双子。「よく見ると違う」と言うが、見た目がそっくりなイケメンの2人。大学時代まで米国で過ごした2人は来日後、出羽海部屋に入門。ともに09年9月場所に初土俵。約8年間の力士生活を経て、ジュンは17年5月に、レイは同9月に引退した。その後昨年12月に行われた全日本の入門テストで一緒に合格し、入団が決定した。

これからも兄弟でシングル、タッグと、しのぎを削っていく。ジュンは「これから2人で何百番もやっていくと思う。お互いに成長した姿を見せたい。今後は他のヘビー級の選手からも勝利したい」と意気込んだ。所属していた出羽海部屋の力士をはじめ、大相撲時代の仲間たちからも「とにかく頑張れ」とエールをもらっている。現在はコロナ禍で来ることはできないが、角界からの応援も背に、これからはタッグでの初勝利を目指す。【松熊洋介】