北海道初のK-1世界王者へ1歩-。昨年度K-1アマチュアMVPに輝き、3月のプロデビュー戦を勝利したK-1ライト級(62・5キロ)の上野空大(くうと、19=K-1ジム大宮、恵庭北高出)が17日、東京・両国国技館でプロ2戦目に臨む。対戦相手はベテランサウスポーの井上修一(28=K-1ジム川口)。過去7戦KO負け0のしぶとい相手を倒し、世界への扉をこじ開ける。

181センチの高さを生かした打ち下ろすパンチで、ジムの姜宗憲代表(53)が持つミットをえぐる。空手仕込みの切れ味鋭いキックが、サンドバッグを大きく揺らす-。プロ2戦目の2週間前の時点で、上野の肉体は完璧に仕上がっていた。「絶好調です。しっかりと圧倒的に勝って、自分の存在をアピールしないといけない」と、19歳のファイターが表情を引き締めた。

3歳から極真空手師範の父滋也さん(43)の手ほどきを受けて育った。フルコンタクト空手の大会で70回以上優勝を記録。高3秋に姜代表のすすめでK-1に転向した。16戦全勝で昨年度のK-1アマチュアMVPを獲得。今年3月にプロデビュー戦を勝利した。1Rに左足の中指と薬指を骨折しながらも、3-0の判定勝ちをもぎ取った。

約30年間で1000人以上を指導してきた姜代表をして「ヘビー級のピーター・アーツやアーネスト・ホースト、ミドルの魔裟斗、武尊がK-1のアイコン(象徴)でしたが、今後はライト級の彼(上野)になる」と断言する逸材だ。当面のターゲットは「全勝で5~6戦目に(国内選手中心のイベント)クラッシュの王座」(上野)だが、照準はあくまで“世界”。目標を聞かれた時は常に「北海道の皆さまに応援してもらいながら、22歳までに北海道初のK-1世界王者になること」と返す。

高校卒業後の昨春から、K-1ジム大宮近くで自炊生活を続ける。約1年3カ月のトレーニングでベンチプレスの重量は40キロ以上増え、パンチの破壊力も増した。「同時世界王者」(上野)を目指す、3歳年下の弟奏貴(かなた、16)も7月末にK-1甲子園東日本予選を控え、兄がつまずけない。「自分が勝って、いい流れを(弟に)つなげていきたい」と上野。7戦でダウンすら1度もないタフなファイターを踏み台に、頂点への階段を、また一段昇る。【中島洋尚】

◆上野空大(うえの・くうと)2004年(平16)3月5日、恵庭市生まれ。3歳の時に空手道真結氣(まゆき)代表の父の指導で空手を始める。恵庭若草小5年で軽量級全国大会準優勝、恵庭柏陽中3年で世界大会3位。恵庭北高2年のJKJO全日本ジュニア空手道選手権高校70キロ未満の部優勝。高3秋にK-1転向。K-1アマチュア16戦全勝。22年度K-1アマチュアMVP受賞。23年3月プロデビュー。1戦1勝(0KO)。家族は両親と弟、妹。妹の来実(13)も空手家。181センチ、62・5キロ。