日本ボクシング連盟前会長の山根明氏が1月31日、大阪市内の病院で肺がんのため死去した。84歳だった。昨年末に体調を崩し、入院治療を受けていた。

山根氏は1939年(昭14)10月、朝鮮半島出身の両親のもと、大阪・堺市に生まれた。終戦後、母とともに朝鮮半島に引き揚げるも、10歳の時に父に会うため密入船で不法入国。収容された。その後、再び日本に渡り、元ボクサーの父に教わってボクシングを始めた。

病気のためプレーヤーの道はあきらめたが、30代の時に国体と全日本選手権を控えた奈良県連盟の選手強化と組織の立て直しを依頼され、奈良県を強豪に引きあげた。その手腕を買われ、日本ボクシング連盟の役員を歴任した。

国際的な交流を深め、12年ロンドン五輪ではミドル級の村田諒太の金、バンタム級の清水聡の銅メダル獲得をバックアップした。11年には同連盟会長に就任。12年に名誉会長となったが、18年、審判の不正や助成金の流用などの疑惑が発覚。過去の反社会勢力との交際を理由に辞任し、その後、連盟から除名された。

同連盟から離れた後はテレビ番組などにも出演していた。