春場所13日目に負い、夏場所を途中休場に追いやられた左上腕付近のけが。6月から精力的に稽古を積み重ね、テーピングをする必要もない状態にまで回復した。ただ、連日の稽古は最初の一番でほぼ勝てなかった。けがの再発、痛みのぶり返しを怖がり慎重に入る気持ちがどこかにあった。

 「全然、普通にできる。ただ、最初からギアが入らない。(左上腕に)もう違和感はないけど、最初の4、5番くらいはどうしても、なかなか力が入らない。そこが良くなってくれば完璧じゃないかな」。そう漏らしていた場所前。この日の朝も「いい調整ができた」とは言ったが、唯一の心配の種だった、その「心の壁」が、やはり本場所最初の相撲で出てしまった。

 初日黒星は幕内76場所で27度目。過去26場所では最高でも11勝止まりと大きな1敗で、八角理事長(元横綱北勝海)は「今日の相撲を見る限りはね」と、苦しい場所になりそうな予想を示した。ただ、先場所より腕の状態が良いのも確か。心の壁を振り払えるか。試練の場所は、名古屋も続く。【今村健人】

 ◆出場した横綱、大関が5人以上敗れた日 昭和以降、この日が13度目。最多は06年秋場所6日目の6人全滅。1人横綱の朝青龍に白鵬、千代大海、魁皇、琴欧州(のち琴欧洲)、栃東の5大関が敗れた。この日と同様、2横綱と3大関が敗れたのは00年九州場所14日目以来となる。また4横綱&3大関の豪華番付時の大荒れでは、61年九州場所6日目、8日目に2横綱と3大関が敗れたことがある。