大相撲名古屋場所(7日初日、ドルフィンズアリーナ)を前に、東前頭筆頭朝乃山(25=高砂)が1日、豊田市内で宿舎を構える宮城野部屋に出稽古を行い、横綱白鵬(34)に“KO”された。

三番稽古の11番目に右張り手を食い、上手投げで土俵にたたきつけられ、脳振とうのような症状を起こした。夏場所で初優勝を飾ったホープが最強横綱の洗礼を浴びた。

背中にべったり砂をつけた朝乃山は動けなかった。立ち上がろうとしてよろめき、座り込む。白鵬との三番稽古の11番目。立ち合いで右張り手をもらった。振り回され、左手で後頭部を押さえられ、右からの強烈な上手投げで土俵にたたきつけられた。

「張り手です。脳振とうみたいになって…。食らいましたね。ちょっと脱水(症状)ぽくなってた所だったので」。白鵬の前に幕下宝香鵬、十両石浦と11番とっていた。合計22番。横綱の待つ部屋へ、付け人なしで単身乗り込んだ。いつもと違う緊張感もあったのか、数番前から息が上がり始めていた。

夏場所優勝で注目、期待を集める中、白鵬との稽古は「いろいろな人とやりたい」と自ら望んだもの。報道辞令で、白鵬からも歓迎の意を示され、出稽古を決めた。結果は2勝9敗だったが、収穫はあった。最初の1番。立ち合いで左前まわしをとり、そのまま寄り切った。「自分でもビックリ。体が反応した」。10番目も左前まわしをとって前に出て、投げを食いながら寄り切った。「(2番目以降も)前に攻められた」という。前に出る圧力。白鵬も「いいものがある。重さもあった。思った以上にね。昔、巡業でやった時は軽かったけど、それから20~30キロ増えてるんじゃないの?」と成長を認めた。

本番まで1週間を切り、最終調整に入った。「明日(出稽古をするかは)昼寝してから考えます」。29日まで、3日連続で出稽古を行い、この日は“ラスボス”白鵬の胸を借りた。期待のホープは着実にやるべきことをこなしている。