白鵬の“エルボー”は、いかがなものか-。日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)は、大相撲九州場所千秋楽から一夜明けた25日、東京・両国国技館で定例会合を開いた。話題になったのは、43回目の優勝を決めた横綱白鵬(34=宮城野)の、立ち合いでしばしば見受けられる、かち上げについてだった。

会合後、記者会見に臨んだ矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)は、委員からの意見として「ちょっと、やり過ぎではないか。横綱の振る舞いとして見苦しいのではないかというのが、ほとんど全員からあった」と説明した。その上で「協会としても指導してほしいと要望した」と話した。さらに質疑応答でも同委員長は続けた。

矢野委員長 そうゆうことをしなくても勝ってほしい。43回も優勝する史上最高の実力者。大横綱になってはいると思うが、名横綱と後世になっても言われるようになってほしい。ルール上、正しい技ではあっても控えて相撲を取る。(これまで)後世に名を残すような横綱がやったように、白鵬にもいろいろやってほしい。1つの願望。(今場所)いちばん目立ったのは遠藤戦だが(何度やったかという)回数の問題ではない。そこまでしなくてもいいのではないかと思う。横綱が、しょっちゅうやるのは見苦しいので、協会も注意してほしい。

これに対し協会側の見解を、記者会見に同席した芝田山広報部長(元横綱大乃国)が説明。張り手、張り差し、かち上げは立ち合いの技として認められるものではあるが「(かち上げでなく)ひじ打ちではないかというもの(意見)だった」とし「意見は承りました」と話すにとどめ、今後、白鵬や師匠への注意喚起などは現状、考えていない姿勢を示した。さらに「対戦相手も強い気持ちを持ってほしい。張り手やかちあげは(やった方の)脇が空くから」と、付け入るスキになると説明。そこを突けず、ひるむような力士を「対戦相手が情けないと思う」と話した。“相撲経験者”と好角家との、認識の違いが浮き彫りになった。

白鵬の立ち合いの張り手、かちあげについては、一昨年12月、当時の北村委員長個人宛てや委員会宛てに、批判する相当量の投書があったことを同委員長が明かした。その例として、立ち合いの張り手、かち上げが一昨年九州場所の15日間のうち10日以上もあり「横綱のものとは到底、言えないだろう。美しくない、見たくないという意見でした」と会見で話し、協会へ改善の努力を求めるよう意見が一致した。かち上げについては、相手の上体を上げるために腕を下から上に上げて立つのが本来の姿といえるが、白鵬の場合は肘を横から相手の顔面めがけて当てているのでは、という批判の声が上がっていた。