大相撲で大関経験者の正代(31=時津風)が、春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)で4場所ぶりの勝ち越しを誓った。

24日、都内の部屋で稽古し、出稽古に来た母校東農大の1、2年生4人、部屋の若い衆4人を相手に11勝3敗。東農大生4人とは1番ずつ取り、一気に寄り切るなど寄せ付けなかった。若い衆4人には計7勝3敗だったが、持ち前の柔らかさを生かした取り口や圧倒する相撲も目立った。稽古後は「まだ、いつもの立ち合いに戻っていない。もう少し当たりたい。まずは春場所で勝ち越したい」と力を込めた。

1月の初場所は、10勝以上で大関復帰の可能性があったが、6勝9敗に終わった。昨年末に右足親指に、休場も考えるほどの負傷を抱えていたことが今月になって判明。さらにこの日は「痛めた時に何かが切れるような『ブチッ』という嫌な音がしたんですよ。大学の時にも同じ箇所を同じように痛めていて…。それを体が覚えている」とも明かした。右足は立ち合いで踏み込む際の蹴り足。「恐怖心のようなものがあるのか」と、鋭い踏み込みが戻っていない感覚が根強くあるという。

それでも今月は、ともに前頭の錦木と北勝富士が、別々に2度ずつ出稽古に来ており、関取衆と稽古を重ねて調子は上向いてきた。初優勝や大関に駆け上がっていった、3年前の感触を思い出しつつある。まだ完治には至っていない患部は「春場所中は痛み止めの薬を飲んで、場合によっては大阪に入ってから注射を打つつもり」と、大事を取る。同じ箇所を痛めて稽古も十分にできなくなった、大学時代のトラウマ(心的外傷)も克服するつもりだ。

大関から陥落し、関脇で臨んだ初場所でも負け越し、20年初場所以来、3年ぶりに平幕に番付を落とすのは避けられない状況だ。それでも「これで引退というわけでもない。まだ全然やめる気はない。上位定着と、三役復帰も視野に入れて頑張りたい」と力説。復活を誓っていた。