日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)が来月2日の還暦土俵入り(東京・両国国技館)で締める赤い綱を作る「綱打ち」が23日、都内の八角部屋で行われた。同部屋の力士ら20人ほどが2時間余りかけて約10メートルの綱を完成させたのを間近で見守り、「自分が赤い綱を締めることになるとは思っていなかった。弟子に作ってもらうのは感慨深いものがある」と頬を緩ませた。

綱を完成させると、新横綱の時につけた化粧まわしの上に実際に締めて太刀持ちに君ケ浜親方(元関脇隠岐の海)、露払いに幕内北勝富士を従えて土俵入りの練習も行った。せり上がりの時に左手の先を脇腹にあて、右手はやや斜め前方に差し伸べる「雲竜型」を披露し、見学した関係者を魅了した。現役の頃を思い出したと言い、「大変だったなぁという気持ちがよみがえってきた。化粧まわしを着けて四股を踏むのはなかなかうまくいかなかった」。さらに「懐かしいし、締めるときの緊張感、責任感を思い出す」と話した。

秋場所(9月10日初日、東京・両国国技館)を控えた9月2日の横綱審議委員会(横審)による稽古総見が4年ぶりに一般公開されることに合わせ、6月22日に60歳を迎えた同理事長が「1人でも多くの人が、相撲と触れ合う機会が増えれば」と還暦土俵入りを行うことを決めた。還暦土俵入りの実施は2021年10月の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)以来。現在114キロほどの体重をキープし、入念なストレッチを欠かさない。当日会場に集まった人たちの記憶に残る土俵入りができるように準備を怠らない。【平山連】