“鉄人”が、ようやく今場所初白星を挙げた。ここまで初日から11連敗していた西前頭3枚目の玉鷲(38=片男波)が、同15枚目の千代翔馬(32=九重)と対戦。もろ手で当たり押し込んだが、千代翔馬に手繰られ体を泳がされた。何とか体勢を立て直したが、突ききれずに俵を背にする劣勢が続いた。さらに出るところをいなされ、向正面で背を向けるピンチに。だが、ここで反転すると、左がスパッと入った。千代翔馬が出るタイミングで体を開き、その左からのすくい投げで、今場所初白星を手にした。

相手の千代翔馬も、ここまで2勝9敗と不振が続いていたが、玉鷲には安堵(あんど)の白星になったはずだ。花道を引き揚げた後、NHKの取材に応じ「気持ち良かったです。何年ぶりかの気持ちです」と話し、館内から大歓声が上がったことには「皆さん心配してくれていたんですね」と、しみじみ話していたという。ちなみに玉鷲の幕内での初日からの連敗は、2度ある7連敗が最多で、自己ワーストを更新していたが、これに終止符を打った。