大関陣がそろって3連勝です。内容も各力士が持ち味を発揮しています。場所前の展望評論で、大関陣には関脇以下に実力差を示してほしいと注文しました。まだ3日目ですが、それが現実のものとなって理想通りの場所になっています。さらに関脇陣も3人中、2人が全勝で大関を含めた上位6人は連日の白星そろい踏みです。上位が固まりつつあり世代交代の波が、ようやく落ち着きそうだと感じさせる序盤戦です。

そんな中、この日、目を引いたのが琴ノ若です。まわしを切ったり腰の重さを生かした相撲は、私も現役時代に何度も戦ったことがあるお父さん(佐渡ケ嶽親方=元関脇琴ノ若)譲り。違うのは同じ長身でも、覆いかぶさるような相撲だった親方に対し、琴ノ若は体を丸めながら下から上に力を使えることです。お父さんを超えつつあります。さらに、たたき上げで入門した親方に対し、埼玉栄高で学んだ技術が琴ノ若にはあります。大逆手の珍しい決まり手で明生に勝ちましたが、土俵際で相手を左右に振り回しながらの技は、腰が重いとか残り腰があるから、ではなくアマチュア時代に身に付けた技術がそうさせたのです。そこは若い力士も琴ノ若の相撲から学んでほしいと思います。(日刊スポーツ評論家)