ジョージア出身で昨年5月に引退した大相撲元大関栃ノ心のレバニ・ゴルガゼさん(36)の引退相撲が4日、東京・両国国技館で開かれ、断髪式では高須クリニックの高須克弥院長や元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏ら約300人がはさみを入れた。現役生活を思い返してか時おり涙を浮かべ、最後は師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)の止めバサミで、まげに別れを告げた。

「日本に来た時は1人も知っている人がいませんでした。きょうはこんなにたくさんいます」と訴えて集まった大勢のファンを沸かせ、日本語、そしてジョージア語とそれぞれの言葉で感謝を述べた。花道を引き揚げて早速整髪に移ると、バリカンで左右を短く刈り上げた「2ブロックウルフカット」に変貌。スーツを着込むと、照れくさそうに笑っていた。

断髪式を振り返って「いろいろなことを思い出すと涙がポロポロ出てきた。寂しいところもありますけど、土俵に最後に上がれたんで次の人生が楽しみ」。しこ名は春日野親方の「日本の心を持ってほしい」という思いから栃ノ心と名付けられ、その恩に報いたい一心だった17年間の力士人生。大関という協会の看板力士にまで上り詰めた。「相撲をやってたから、ここまで来れた」と言うのは紛れもない本心から。厳しい相撲界で「人に対するリスペクトの気持ち」を一番学んだと胸を張った。

協会からは離れるが、これまでの経験を生かすべく新たな道を歩む。妻の英美さんらと経営する株式会社ロイヤルジョージアで、母国から輸入したワインやハチミツなど販売に力を注いでいく。日本とジョージアをつなぐビジネスをするかたわら、今後も相撲界に何らかの形で貢献する気持ちは強い。「何ができるかは分かりませんが、恩返しがしたい」。生後9カ月の長男、春伶馬(はれば)くんが気持ちよさそうに眠るそばで、第2の人生に向けて力強く決意を見せた。【平山連】

◆主な出席者 ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)、ドルゴルスレン・ダグワドルジ(元横綱朝青龍)、ジュゲリ・ティムラズ(元小結臥牙丸)、松谷裕也(元小結松鳳山)、草野仁(フリーアナウンサー)、高須克弥(美容整形外科「高須クリニック」院長)=敬称略

【写真特集】元大関栃ノ心、涙の断髪式 元横綱の朝青龍明徳氏ら参加者にも注目/引退相撲