幕内10度の優勝は、横綱照ノ富士(32=伊勢ケ浜)にとって常々口にしてきた目標だった。相撲担当記者時代に2桁優勝に掛ける思いの強さに接してきた。1月の初場所千秋楽で当時関脇琴ノ若(現大関琴桜)との優勝決定戦を制した後、支度部屋に引き揚げ報道陣の取材で放った言葉が目に焼き付いている。
兄弟子の元横綱日馬富士の優勝回数に並んだことにを問われ、照ノ富士は無言を貫いた。改めて「これで日馬富士関の優勝回数を並びました」と問われると、今度は「そこじゃない」とピシャリ。端的な言葉で自ら取材を切り上げた。高みを見据える横綱の強い信念が感じる出来事だった。
2桁優勝にこだわる理由は「そういう目標を自分の前に持っておかないと、きついときでも乗り越えられない。目標を立てているからこそ、やり切れている部分がある」と言った。年内での到達を見据える中でも焦りはなかった。「やれることを全部やって、できなかったらしょうがない」と達観すらしていた。兼ねて口にしてきたことが達成した今、次は何を目指すのか。担当を離れた記者にとっても関心事だ。【平山連】

