大の里よ、泥にまみれろ! 大相撲秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)に向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が29日、両国国技館の相撲教習所で行われた。成績次第で大関昇進の可能性がある関脇大の里(24=二所ノ関)は、計9番で5勝4敗。積極性に欠く姿勢に、日本相撲協会役員の八角理事長(元横綱北勝海)からは稽古不足を指摘され、境川巡業部長(元小結両国)からはゲキが飛んだ。大関昇進への気迫、がむしゃらさを求められた。横綱照ノ富士は糖尿病と膝痛、関脇貴景勝は首痛で不参加だった。
初土俵から順風満帆だった大の里にとっては、初ともいえる“ダメ出し”連発だった。関取衆の申し合い序盤で雷が落ちた。「大の里、お前、目の前だろ! かぶりついてでも、やらんか!」。1カ月近い夏巡業中からモヤモヤを募らせていた、境川巡業部長の大声が響いた。目の前で申し合いが決着しても、次の相手として名乗りを上げない消極的姿勢を怒られた。これには稽古後、大の里も「頑張ります」と反省した。
もちろん大の里も考えがあってのこと。限られた時間で、疲労をためずに本場所に近い状況で稽古するため、量より質を求めるのも当然。ただ昇進の重圧をはねのけ、横綱まで上り詰めた八角理事長はピシャリ。「まだまだ稽古量が足りない。ぶつかり稽古を見てもまだ新弟子という感じ」。役員も令和の時代に根性論を押しつけるつもりはない。ただ、猛稽古にしか、つかめないものがあると知ってほしい期待の表れだ。
この日は5勝4敗で、光る相撲もあれば、低調な相撲もあった。そのムラッ気を減らすには稽古しかないことを、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)にも口酸っぱく言われてきた。そこにこの日の厳しい声連発に「明日から稽古をしっかり頑張りたい」と力説。大関に必要な最後の1ピースは、がむしゃらさなのかもしれない。【高田文太】

