プロダンスリーグ「D.LEAGUE」で熱戦を繰り広げるDリーガーの素顔に迫る連載「Dリーガーのオドリバ」第5回は、KADOKAWA DREAMSのAroha Imai(21)と、CyberAgent Legitのena(21)の登場です。同学年でともに大阪生まれ、英語圏の国に留学経験を持つなど共通点の多い2人が語り合いました。【取材・構成=大友陽平、写真・動画=山崎安昭、青山麻美】
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-同学年で同じ大阪出身。最初の印象は?
2人 小さい頃から、知ってました!
ena うまかったし、背が小さかったよね? お互い人見知りというか、そんなにしゃべたことはなかったよね?
Aroha 何回かは話してました(笑い)。ママ同士が結構話してたんだよね。
ena 月に1回くらいあるダンスバトルで、毎月ぐらい会ってました。
Aroha 1回くらいは(直接)当たったことがあるかもです。
-そんな2人がDリーグという舞台で相まみえる
ena 運命ですね!
Aroha お互いいると思ってなかったので、すごくびっくりして、あのenaかな? って。でも顔がずっと変わってないので、そうだろうなと(笑い)
ena あの子やんな? って、インスタグラムとかを探りながら。親とも、「あのArohaやんな」って(笑い)
Aroha 2人とも本名なんです! 漢字は「愛呂波(あろは)」です。
ena 絶対1人しかいないので、そうだろうなと(笑い)
-ダンスを始めたきっかけは?
ena 保育園に通っていた時のお遊戯会で、SMAPを踊ろうというのがあって、「じゃあena、センターで!」って。うまく踊れていたらしく、先生からも「ダンスしてみたら?」と薦められて、ダンススクールを探して、ヒップホップのクラスに通い始めたのがきっかけです。
-踊って楽しかった?
ena キムタク(木村拓哉)さんをずっと見てたんです。キムタクさんって、こうやってするじゃないですか?(顔まねをする)。それをずっとやってました(笑い)
-その後の活動は?
ena 主にダンスバトルに出場していて、自分は「LOCK」バトルに出場しつつ、オールスタイルの1対1だったり、2対2のバトルに出場していました。その中でも、(韓国や台湾、ヨーロッパなどの)海外の大会に出場することが多かったので、やっぱり英語が必要だと思って、それがきっかけで留学を決めました。カナダかオーストラリアで悩んで、オーストラリアに友達がいたので選びました。せっかくつながれるのに、「YES YES」とかしか言えなかったり、「何歳ですか?」みたいな質問もよく分からなくて、ちょっとこれはまずいと思って、世界で活躍するには絶対に必要だと思ったので留学しました。
-高校卒業後に留学した
ena シドニーに3年弱いました。行って1、2カ月は旅行気分だったんですけど、3カ月もすればホームシックになりまくってましたね。0の状態で行ったので、語学学校みたいなところに通ってました。その後にビジネススクールに入学できてからは、マーケティングとか、ビジネスで使う英語を勉強して卒業しました。
-留学中のダンスは?
ena オーストラリアを拠点に、中国とかヨーロッパとか、海外の大会を行き来してました。(シドニーで)インストラクターもやらせてもらって、すごくいい経験になりました。
-帰国したのは?
ena 向こうにいる時に、もうコロナ禍になっていたのでオンライン面接とかも受けました。就職しようと思っていて、ダンスはもうオーストラリアで終了しようと思ってたんです。日本の会社に内定をいただいて、帰ってきて、もともと上京したいとは思っていて、東京に住もうと決めていたんですけど…。コロナの影響で内定が取り消しになってしまったんです。でも家も決めてるし、どうしよう? ってなった時に、Dリーグがありますという連絡が来て、なんというタイミングや! って。Dリーグ1本でいこうと決めました。
-ダンスを始めたきっかけは?
Aroha 自分の母がバレエの先生で、自分のおばがダンスの先生をしていて、幼稚園の時に、おばさんのダンススクールの発表会を観に行って、すごくみんながキラキラして見えて、自分もダンスをやってみたいという思いだけしかなかったんですけど、やってみたいと母に言いました。中途半端な気持ちでやるんだったらやめた方がいいみたいなことは言われたんですけど、自分で初めて決めて、ダンスを始めました。
-そこからの活動は?
Aroha 小学校の時はバトルに出たり、バックダンサーをやったり、オーディションを受けたりしていました。中学の時も、主にアーティストのバックダンサーが多かったです。ドリカム(DREAMS COME TRUE)さんとか、AIさんとか、東方神起さん…。小学生の時はSMAPさんとか、夏の音楽フェスのTRFさんのバックダンサーとかをやっていました。
-中学卒業後にカナダに留学した
Aroha 高校に行くタイミングで、はじめは日本のインターナショナルスクールに行こうと思っていました。これから世界で活躍するには、英語を話せないと話にならないという風に思って。自分で決めたことだったので、お金のこととかも自分で計算したら、留学するのと全然変わらないぐらいだったので、だったら向こうに行って学んだ方がいいと思って、両親を説得する毎日が始まった感じでした。
-カナダに決めたのは?
Aroha 自分で大使館に行って聞きに行ったり、周りの人からもカナダの英語がきれいというのを聞いていました。あとは治安がいいのと、コンテンポラリー(ダンス)とか、ダンスの基礎の部分がしっかりしているのがカナダだったんです。それまではヒップホップとか、ガッツリしたストリート系は身についていたので、もっと伸ばしたいのは基礎の方だなと思って、カナダを選びました。バンクーバーのデルタというところの公立高校に行きました。日本の高校と同じように、向こうの歴史を勉強したりしていました。高校の中にダンスアカデミーがあって、そこに特待生で入ってやっていました。コンテンポラリーとかがすごく強くて、あとは「シルク・ドゥ・ソレイユ」とかサーカスのような動きも経験して。学校の行事としてですがサーカスも体験しました。それまではチームでダンスをするのが得意な方ではなかったんですけど、チーム力を学びましたね。あと、学校の先生がオリンピックの振り付けとかもしてた人で、その人のスタジオで教えたりもしていました。話を聞くと、enaちゃんと共通点は多いかもしれないですね。
-卒業して帰国した
Aroha 今も大学生に通っているのですが、勉強をしたり、母のスタジオで教えたり、インストラクターをやっていました。
-やっぱり英語は必要ですか?
ena 自分が実感したのは、やっぱりしゃべれる人を向こうのオーガナイザーや主催者は選びます。この子は英語しゃべれないから選ばないとかもあるので、しゃべれないよりしゃべれた方がいいと思います。
Aroha それをすごく身に染みた経験もあります。自分が思ったのは、向こうに行っている時に、シャイでしゃべれないとか、友達ができないということも多いと思うんですけど、しゃべることができれば人脈が広がったり、人種の壁とかを壊していけたりするのが大きいなと思いました。共通の言葉があるだけで世界ってほんまに変わってくると思ったし、夢の持ち方もどんどん広くなっていくと思うので、これからダンスで上に行きたいとか、世界に行きたいと思うのであれば、絶対に英語を身につけて、いろんな人と対話していくと、自分の表現力とかにも生きてくると思うので大事かなと思います。
-お互いプロ(Dリーガー)になっての印象は?
ena 昔の衝撃と変わってなかったです。KADOKAWA DREAMSを見た時に「あの子、うまっ!」って思いました。華がありますよね。オーラがあるので、探さなくても存在感がすごいです。
Aroha enaも見た目から全く変わってないんです。印象も話し方も全然変わってなくて、勝手に安心してました(笑い)。ダンスは小学生の時からめちゃうまかったんです。バトルの時とかも、踊ってる時にめちゃ笑顔でさわやかに踊ってるのに、すごい動きしてる! みたいな。スキルフルで、スキルの塊だし、踊ってるだけで他の人にはない“ena!”というのがすごくあるんです。そこがめちゃいいところで、好きなところです。
ena ほめ合いは恥ずかしいですね(笑い)
-Dリーガーになって変わったことはありますか?
Aroha それまでは大阪にいて上京してくる予定とかもなかったので、環境がガラッと変わりました。チームで戦っていくというのも新鮮です。でも毎日がすごく充実していて、プロとしての意識もどんどん高くなっていって、見てくださってる方々は、どうやって思ってくれているんだろう? とか、普段から考えるような癖がつきました。体のケアの仕方も変わりました。こんなに毎日踊ることもなかなかないと思いますし、今のこの状況で踊れていたり、Dリーグに出られてるありがたさは、ここにいなかったら気付いていなかったと思います。
ena 本当にその通りで、うまくまとめてくれました(笑い)。ダンスはもちろんなんですけど、1人の人間として成長できる環境にいます。自分を客観視できるようなったり、CyberAgent Legitも、めちゃレベルの高いメンバーが集まっています。レベルの高いヒップホッパーがチームメートということはこれまでなかったことだったので、本当にありがたい経験をさせていただいてるなと思います。
-残り4戦に向けて
ena チームとしてはまだまだ全然思ってるような結果ではないので、ここからだなと。見ているところはもちろん優勝ですが、次のROUNDに向けても、着々と1人1人が準備しているので、今は不安よりも、むちゃくちゃ楽しみです。早く踊りたい! 早く次のROUNDこい! という気持ちです。
Aroha KADOKAWA DREAMSは、毎回新しいものというのを追求し続けるチームだと思っています。次のROUNDのことを考えながら、今のトレンド、最先端をいきつつ、オールドな部分も大切にしながらやっていくのがKADOKAWA DREAMSだと思います。まだまだ止まらないチームだと思いますし、みんな本当に強気ですし、上しか見てない感じなので、この調子でどんどん行こうと思ってます。
-個人の目標は?
Aroha Dリーガーとしては優勝するのが目標ですし、MVDを自分でもチームの誰かでも獲りたいと思っています。そしてこのメンバーで、いつか世界で活躍できたらいいなという夢があります。個人の夢としては、将来は世界で活躍していきたいですし、海外のアーティストの振り付け、兼自分もステージに立ってキラキラして、いろいろな人に夢や希望、勇気を与えていける存在でありたいと思っています。今は日本で、このDリーグという素晴らしいところに立たせていただいてますが、もっともっと視野を広くして、世界で戦っているダンサーと言っていただけたり、日本のダンサーで誰が1番かっこいい? って聞かれた時に、「やっぱり世界で活躍してるAroha」と言われるようになるのが夢です。ミュージックビデオに出たり、「MTV」のステージに中学ぐらいの時から立ちたくて、あの大きいステージに立ちたいし、スーパーボウルとかの舞台にも立ってみたいです。
ena Dリーガーになって、夢が変わったんです。これからDリーグ自体が世界に広まって、もしかしたら海外からの参戦チームも増えるかもしれないじゃないですか? 唯一のロッキンダンサーで、今はロッカーのディレクターがいないので、いつかロッカーのディレクターになって、LOCKのやばいチームを作りたいなと思っています!
◆Aroha Imai(アロハ・イマイ)1999年(平11)10月19日、大阪府生まれ。5歳の頃にダンスの発表会を観に行ったことからダンスを始める。あらゆるジャンルのダンスを習得し、有名アーティストのバックダンサーなどを務める。中学卒業後、カナダ・バンクーバーの公立高に留学。学校のダンススタジオでアシスタントやチームリーダーも経験
◆ena(エナ)1999年(平11)6月30日、大阪府生まれ。6歳の頃、保育園で踊ったSMAPの影響でダンスに興味を持ち、ダンススクールに通う。LOCKを中心にさまざまジャンルのダンスを学びながら、国内外のダンスバトルに出場。高校卒業後は、オーストラリア・シドニーに留学。現地の大会で2冠を獲得するなど、多くの世界大会でもタイトルを獲得
◆ROUND.8(4月20日)ハイライト FULLCAST RAISERZが第6戦に続いて2勝目を挙げた。「学園」を舞台に、学ラン姿でストーリー仕立てのパフォーマンスで圧倒。SEPTENI RAPTURESと72点で並んだが、オーディエンス票で20点満点を獲得。総合順位でも、avex ROYALBRATSを勝ち点1差で上回り、初めて1位に躍り出た。6日開催のROUND.9は、ゲスト審査員を古坂大魔王、あばれる君らが務め、ゲストアーティストには、DリーグアンバサダーのEXILE SHOKICHIが登場する。