女優吉高由里子(35)が紫式部役で主演を務める24年度NHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜午後8時)が、7日からスタートする。長編小説「源氏物語」執筆など、約1000年前の平安時代に活躍した不世出の作家の、波乱の人生を描く。引き締めて臨む初の大役への思いを明かした。
★1000年前と同じ
1000年の時に思考をめぐらせる。吉高は「星や月が好きで」と語り「電気がない時代に、夜空がどれだけ明るかったのかは、行って見てみたかったな」とつぶやいた。現代の感性では推し量れない平安時代。
「お家も鍵がなくて全開なんですよ。物を盗まれたりしなかったのかなとか。今は娯楽がたくさんありますけど、当時は曜日感覚も時計もないですから。花の香りや梅雨とか、そういう季節の移り変わりに敏感だったのかなと思いますし、今のYahooのコメント欄は、昔で言うと、人々がうわさ話を話し回っていたようなものなのかなと想像したり。でも、今も四季がきたら盛り上がりますし、悲しさやうれしさとか、心の動く部分は同じなのかなと思います」
「紫色」も好き。「だから紫式部になったわけじゃないですけどね」と笑いつつ「民放のドラマをやったあとに、すぐに1000年前に連れ出されて(笑い)。(歴史ものゆえ)アドリブで変なことが言えないというのがあるんですよ。お互いの空気感の余韻で何か言えたらいいなと思うんですけど、ビビり過ぎていて『ねえ~?』とか『まあ~』しか言えてないです(笑い)。そういう困っちゃう間はありますけど、ここからアドリブでいい言葉とかがパッと出てくるよう、その時代のセリフになじんでいけたらいいなと思います」。
★光源氏なんでモテる
参考として「源氏物語」を漫画化した「あさきゆめみし」にも目を通した。「私は文学女じゃないので、本は台本以外読めないです。(スタッフから)本物は読めないと思うから、そっちの方がいいよと勧められました」と笑い「(紫式部は)すごく人に興味を持っている人なんだろうなと思いました。観察力のある方ですし、決しておしゃべりな方ではなかったのかもしれないですけど、洞察力で想像の風呂敷を広げるような、そういう風にしながら物語を作り上げていったのかなと思います。光源氏はなんでこんなにモテるんだろうって思いましたね」。
紫式部は当時の資料もあまり残っておらず、生活実態などはほぼベールに包まれている。普段は見ないというYouTubeにも手を付けたといい「平安時代をイメージ映像で語る、みたいな動画とかを見まくりました。だから(YouTubeの)『あなたへのおすすめ』のところがよくわからないものばかりになっちゃった」と笑った。
★雅な和装も見どころ
わずかな史実をもとに再現した雅(みやび)な和装も見どころのひとつ。5キロ以上の衣装に身を包んで演技をこなす。
「衣装やカツラの重さはカルチャーショックというか、印象深いですね。肌着も入れて袿(うちき)は4枚着ています。はかまがないと、ほとんど裸です。浴衣なんてすっぽんぽんが歩いてるってその時代の人は思うんだなと感じました。動いた分だけ(撮影で)直しの時間もかかるから、じっとしておかないといけないんですよ。俊敏な動きはできないので、昔の人の時間の流れ方がゆっくり動いていたというのもあるのかなと。髪の毛はトイレと一緒に流してしまうんじゃないかというくらい長かったので。…流してないですよ? 今は(衣装が)浮いてきたらどこを引っ張ったらフィットするかというのがわかってきました。半年間やってきた成果かなと思います」
撮影期間は約1年半の長丁場。その間、他の映像の仕事は入れず、今作のみに集中して取り組む。重圧と衣装の重みからか、「立っているだけですごく体力を使うんですよ」と明かした。乳酸菌摂取や「元気が出るサプリをとったり」と体調維持に気を使い始めたといい「いつもは5時間寝れたらいいなと思っていたんですけど、この作品はちゃんと寝ないとダメだなと思いましたね。今は7時間、8時間は寝たいなと思っています」。
★共通点は恋愛相談
紫式部との共通点は「恋愛相談を受けることが多いところ」とした。「絞り出した共通点ですよ」と笑いつつ「私も学生の時とかに恋愛相談的なものを受けること多かったかな。人の愚痴を聞くこととかもそうですし。話しやすいんですかね? 小言とか。劇中でもそういうシーンがあるんですよ。(話を聞く)コツは特にないです。アドバイスはしないんですよ。聞くだけでいいんです」。
最近は吉高をはじめ、10年以上にわたって最前線で活躍する先輩の姿に憧れ、追いかけてきた若手俳優に話を聞くことも多くなった。大河ドラマは若手からベテランまでが一堂に会する舞台でもある。お手本の意識について聞くと「ないかな~」と笑みを浮かべつつ「勝手に育つでしょって思うし、私は目標にされることに臆病になりますね。一緒に頑張る。『自分についてこい』という座長ではないですし、こんなにすてきなみなさんが集まっている作品なので、できる限りいろんな人と関わって巻き込んでいけたら。難しく考えず、楽しめたらいいなと思います」。
2024年の撮影始めは、昨年5月にクランクインした地でもある京都・平安神宮で行う。
「聖地で1年のスタートが切られるのはうれしいことですし、ご縁を感じています。撮影も長いようであっという間な気もするので。後悔することのないように充実した日を体に刻んでいきたいと思います」
光る演技で花を添え、紫式部の生きざまを現代へしっかりと届ける。
▼「光る君へ」脚本の大石静氏
吉高さんには、はじけた感じから寂しさのある雰囲気まで、陰と陽が同居している。これは他の作品を見ても思いました。紫式部のちょっと気難しい感じに合っているなと思います。相談を受ければアドバイスもしますが、演出は監督たちやスタッフの世界なので「こうしてほしい」とはこちらからは言いません。もう彼女とも何度もやっていますが、今回ものびのびやってくれれば(陰と陽の)そうした雰囲気は出ると思っています。
◆吉高由里子(よしたか・ゆりこ)
1988年(昭63)7月22日、東京都生まれ。06年映画「紀子の食卓」で女優デビュー。08年主演映画「蛇にピアス」で日本アカデミー賞新人俳優賞やブルーリボン賞新人賞。同年NHK大河ドラマ「篤姫」にも出演。10年日本テレビ系「美丘-君がいた日々-」で地上波連続ドラマ初主演。14年NHK連続テレビ小説「花子とアン」でヒロイン、同年「NHK紅白歌合戦」で司会も務める。映画は「横道世之介」「真夏の方程式」「ユリゴコロ」など。158センチ。血液型O。
◆「光る君へ」
内田ゆきチーフプロデューサーが制作統括を務め、吉高のほか「源氏物語」に登場する光源氏のモデル、藤原道長役の柄本佑、紫式部の夫役の佐々木蔵之介、母役の国仲涼子、弟役の高杉真宙、道長の姉役の吉田羊ら豪華キャストが脇を固める。




