俳優渡辺裕之(62)が28日、東京・築地ブディストホールで舞台「こと~築地寿司物語~」の公開ゲネプロに出席し、24日に心不全のため80歳で死去した俳優左とん平さんへの感謝を語った。「(演技の)タイミングとバランスを学ばせてもらった。(今回の舞台が)それを初めて出せる場です」と、故人に手向けの熱演を誓った。

 左さんとは、タレントの故小野ヤスシさんの呼びかけで始まったゴルフの会で、年に数回、顔を合わせるゴルフ仲間だった。「(ボールが)飛ばないんだよ」と、よく相談されていたという。渡辺によると、それが左さんの後輩とのコミュニケーションの取り方だったといい、「『お前、この間、何か(作品)に出てるのを見たな』とか言うんです。(その作品には)僕は出てなかったんですけどね(笑い)」。自分の言動を「芸」として形にする左さんの話術にほれ込んでおり、「『左とん平ワールド』をいつか盗みたいと思っていたんですけどね」と寂しがった。

 12年には企画者の小野さんが亡くなり、ゴルフ仲間は渡辺や加藤茶ら、数少なくなった。渡辺は加藤が体調不良の時期から回復したことを喜び、「加藤さん、元気でいてください」と呼びかけていた。